捨て犬と先輩 4【HQ】

161 ページ11

…なんだ、この感じ……







私は隣を通り過ぎた及川を追いかけた







なんでこんなに苦しい







｢及川…！｣






追いついて腕を掴むと、及川はようやく足を止めた







気付いてない訳じゃない




目が合ったんだもの







及｢…離して｣







……



拒否されている感じがした






及川はこちらを見ずに小さく呟いた







離したらまた足を進める気がしたから、私は離さなかった








……違う






…及川は、いつからそこに居たの？







白鳥沢を応援していた訳でもないけど…








"お前はただ青城を応援してればいいんだよ"







そう言ってくれたのに。





青城は試合に負けた






初めに言っておけばよかったのかな








及｢……思っていた通りだ｣







いつもとは違う雰囲気






低く小さい怒りが込められている声








及｢…元々、あっちを応援しに来てた




そう言えばいいのに｣








知り合いだったと伝えたらよかった







｢……っ違…！｣







どうして自分がこんなに焦っているのかもよくわからない






及川は私の腕を振り落として、また足を踏み出した







…何でそんな事……






｢…待って…っ｣







私はまた追いかけて腕を掴んだ







ウザイ



なんなの







いつもの私ならそんな感情ばかり湧くはずなのに







ひたすら焦っているようだった







心臓の動きが妙に早く、ひたすら苦しい







及川はこちらを見ずとも少しだけ横に顔を向けた








及｢………離せ







…ごめん、今は話したくない｣








その顔は今まで見たことないような冷たい顔






ガツンと胸に来る感じ





初めてだった







｢……違う…及川…｣







なんで怒ってるのかも



どうしてこんな状況なのかも





分かった上でこんな返しをしてるのか






自分は何に対してそんな事を言っているのか








そんな事を考えられないくらい



ただ及川に話を聞いてもらうのに必死になっていた









及｢…離せって……｣







離そうとしない私に嫌気がさしたのか、さっきよりは強い力で大きく振り払われた





それと同時に何か胸に突き刺さるような衝撃が走る








及川の腕を強く握っていたせいか、大きく振り払われた時に体がよろけ、







その時肩を誰かに掴まれ、支えられた

162→←160

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す