捨て犬と先輩 3【HQ】

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｢…いや、1人でいいからみんなと帰りなよ｣






せっかくみんないるんだし。






わざわざ1人送ってくれなくても…




というより別に送らなくてもいいのに。








及｢お前は黙ってればいいの！｣







そう言って同じ部員の方々を振り除けるように手をひらひらとさせていた







そして手を引っ張られてそのまま家の方向へ。







…何も挨拶してない…






そう思って引っ張られる中、後ろを振り返るとピンク頭と松川さんが手を振ってくれていた






岩ちゃんという人もどこか少し微笑んでいた







私は頭を下げて、及川の方へ目を移した








｢…ちょっと｣








…なんなんだ。





私が声をかけると及川は歩くスピードを少し緩めた







でも何故か手は離さない








及｢………｣







及川の方を見ても何も言わないし、ずっと地面を見てる







強引に掴まれた手は、自然と指を絡められて胸が跳ねる






それと同時に鼓動も早くなる







………







及｢手なんか握られて何してたの｣







ようやく口を開いたと思って、及川の方を見ると少し睨んでいた







…握られたというか…







｢あの2人は手が大きくて、すごいの｣







あんなに凄いとは思ってなかった






そう答えると及川は何故か手を離して、腕を掴んで私の手をじっと見ていた







なんとなく手を丸めてみる







すると及川もそのまま私の手を包み込んだ







……あれ？







及｢俺も大きいよ｣






…本当だ






｢…両手で、両手でやるともっと……｣







そう言うと及川はもう片方の手を伸ばして、同じように包み込んだ







…わ…やっぱりすごい。






及｢…何がすごいの。お前は小さいんだからこんなの余裕でしょ｣








及川は呆れながらそう言った







………。






及川はゆっくりと手を離して、片手は離さずまたそのまま指を絡めた







………………







……あぁ…





……そういう事か







こういう事もしちゃいけないって事なのかな。








胸がひどく痛む







……今、言えるかな







…





｢及川｣







そう呼ぶと、及川は返事をした





さっきよりは機嫌が良くなったみたいに見える







言いやすいはずなのに、やっぱり言葉が出てこなくなる







急に心臓の動きが早くなり、考えていた言葉すら出てこない

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