捨て犬と先輩 3【HQ】

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｢すみません。遅くなってしまって…｣






そう声を掛け、ちょうど来た電車に乗り込んだ






胸が痛い




苦しい






｢もしかして、昨日も…｣






すると牛島さんは短く"ああ"と答えた







…やっぱり…






牛｢別に気にしなくていい｣






私はただ謝る事しかできなかった






……あ





そういえば、試合の日ぶりに会うんだった







｢用事があってすぐ帰ったので試合見れてないんですが…


言ってた通り勝ったんですよね。おめでとうございます｣








まずは、こうだよね。





決勝っていうすごい舞台にいくんだから。







牛｢ありがとう。見てないのか｣







そう言う牛島さんに小さく頷くと、牛島さんは外に目を逸らした








牛｢天童が探していたな｣







………え。





でもなんとなくその姿が想像出来て笑ってしまった






すると牛島さんは不思議そうな顔をしてこっちを見ていた








｢次はしっかり…｣







そう言いかけた時に次の対戦相手が頭に浮かんで言葉が詰まる







次は…青葉城西…






及川の学校…








｢次は、ちゃんと見れるといいな｣







私も外に視線をずらした







その試合を見た所でどんな気持ちで見たらいいのかわからないけど。







牛｢そうだな｣







牛島さんもそう言って窓の外を見つめていた







…







いつの間にか駅に着いて、いつものように学校へ向かった







牛｢電車には慣れたか？｣







するといきなり牛島さんがそう聞いてきた






…あの時に比べたら、慣れた…よね







私が答えようとすると、目を逸らして牛島さんは前を向いた







牛｢今日は手を握らなかった｣







そう言ってまたこちらを見た







大きく胸が跳ねた







｢…あはは、慣れたみたいですね｣








この行為もダメだから





少しずつ離れていかなきゃ。






話はまだできないにせよ行動から、ね。







牛｢それは良かった｣







私が笑って誤魔化すといつものように牛島さんはそう答えた






深く聞いてもこないし、ただ電車が怖いからっていう理由だったから助かった







牛｢変な感じだな、それに慣れていたから｣








そう言われて思わず胸が苦しくなった







私が必死に思い出さないようにしていた感情を、牛島さんはどんどん突いてくる







そう手を見つめる牛島さんの姿に胸が締め付けられた

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