あなたと 5 【HQ】

237 ページ38

…







｢…泣いてないし｣




西｢泣きそうだったし｣







夕はそうやって言いながらも頭に手を置いた









西｢ごめん｣







夕を見ると少し悲しそうな表情をしていた








西｢お前は1人に出来ない




だからコーチの所にまた行こう｣








頭の上に乗ってる手から何か力強く伝わってくる







抱きしめるみたいに体も近かった








｢私は夕のおかげでここにいるんだよ｣








夕がそんな顔をするのはおかしい






謝ることもおかしい








いつも明るく馬鹿みたいにポジティブなんだから









｢だからそんな顔しないで｣







夕の顔に触れると、夕がピクッと動いた








西｢お前と仲直りしたからこそ、離れたくない｣








そう言われて少し胸が高鳴った








西｢近くで守りたいのに、出来なかった｣







だから暗いの？








｢十分すぎるし、夕が暗いのはおかしい｣








いつもみたいに笑ってて欲しいのに









西｢…あ、影山とか、他の人とちゃんと話せたか？｣








私がそう言ったからか、夕は少し考えて話題を変えた







…うーん、話せたのかな。








｢影山くんとは少し話した｣







まあ、ある程度話せたかな…








西｢あとは菅さんだな｣








夕は空を見ながらそう言った








東｢西谷〜、挨拶するって｣







すると、先輩にそう言われて立ち上がった






私は少し離れたところでそれを見ていた









…。








そして挨拶が終わった瞬間、抱き着かれる








｢…あの｣







またみんなからの視線が痛い







日向は顔赤くしてバタバタしてるし…








澤｢…スガ…｣








部長さんが大きくため息をつきながらそう言った








菅原さんは何も言わず私に抱きついてきた









力強いせいでバランスを崩しそうになるも、菅原さんが支えているから転ぶことは無い









｢……あの、どうしたんですか｣








様子がおかしい気がした







菅｢…何もないよ｣







あるじゃん…





声のトーンからしてさっきと違う









菅｢鈴谷……｣






どこか寂しそうな








菅｢…どこにいたの



その怪我は…またお兄さん？｣








抱きつかれた状態のまま話し始め菅原さん







表情は見えない









｢……はい



あと、もう兄さんでは無くなりました｣








影山くんの時も、何故か胸が少し痛む

238→←236 烏養

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す