あなたと 5 【HQ】 (ページ22)

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久々に見慣れた場所へ帰ってきた

今日からまたここに住むんだ

『Aちゃん、おかえり』

夕のお母さんが笑顔でそう言った

どうして家に……

母さんが言ったのか

母さんとおばさんも久々に再会したのか楽しそうに話していた

私の隣で同じようにその光景を眺めていた父さん

『運ぶ荷物は他にある？』

父さんは私にそう言った

…辛いはずなのに、笑顔を…

私は首を横に振った

家族では無くなっちゃうけど

｢父さん｣

私が呼び止めると父さんは首を傾げてこちらを見た

｢これからも遊びに来てね｣

そう言うと驚いた表情をしていた

｢…いつでも帰ってきてね｣

母さんの幸せを奪ってしまった

少しだけでも。

少しだけでいいから、母さんに会いに来て

離婚なんて関係なく。

すると父さんはゆっくり近付いてきて、私を抱き締めた

『…ありがとう』

本当はお礼なんていらないくらいだ

｢好きな時に来て、たくさん母さんとも出かけたりして

これからも変わらない関係でいて欲しい｣

離婚してしまう事は変えられないけど、少しでもね

あと……

｢病院を出たら、きっと兄さんも変わってるはずだから…

みんなでご飯でも食べよう｣

そう言っておきながらも少し怖い

でもきっと………

父さんは声を震わせながら何度もお礼を言った

体を離して父さんの顔を見ると、涙ぐんでいて鼻が少し赤い

泣いたんだ

その顔に思わず笑ってしまった

血も繋がってないのに私とそっくりだから

.

『…じゃあ僕は行くね

体に気を付けて』

父さんはそう言って家を出た

母さんはもう少し遠くまで見送りに。

『Aちゃん、大きくなったのね～』

家では、私と夕のお母さんと2人きりになった

引っ越したのも高校に上がる前だし、中学の途中から夕とは何も関わらなかった

だからお母さんとも会うのも久々だった

『全く遊びに来てくれないんだもん』

｢あはは…ごめん｣

喧嘩してたなんて…

『夕に言っても、連れてきてくれないし』

夕もお母さんに言ってなかったんだ