あなたと 5 【HQ】

202 西谷 ページ3

傷が痛むのか、思いっきり笑えないAを見るのが辛い








腫れてもいるしガーゼとか貼ってあるから笑いにくいのは当たり前だけど…









手や足とは違う







顔、だ









俺は死んでもあの兄さんを許さない








許すことは決してない







アイツがいい事をしようが、欲しいものを貰ったって恨み続ける









もしもAの顔に傷が残るものなら尚更。









あれほどの傷や痣はどれくらいしたら付くんだ









想像するだけで恐ろしいし、腹が立つ









それを耐えてきたAを思うと余計に心が痛くなる









手も縛られて自由がきかない、抵抗すらできない









狂いすぎてる







一度や二度どころではない…






……俺のせいであんな風になった事もあった









………………………








部活の時は余計な事を考えたくないのに、最近ずっとこんな感じだ









澤｢西谷、なんか力み過ぎてるぞ


もっと力抜いて！｣









そう言われてようやく考えてる事に気付かされる








西｢うっす！｣









俺は切り替えてバレーに集中した









.








部活が終わって片付けになった時に、俺はあくびするコーチの元に向かった









率直に、俺が感じてる事がコーチは感じていないのか。









西｢……腹立たないんすか｣









主語すらない





けどコーチはなんのことかすぐに分かるはずだ









武｢…どうしたんですか？｣









コーチの隣にいた先生が不思議そうに首を傾げていた









でも俺もコーチもそんな事に触れず真剣だった









烏｢…初めて来た時もあんな感じだった｣









………







…そうか





合宿の時、"Aがいなくなった！？"って…







だから実質二回目になるのか。









烏｢……聞くか？｣









そう言われて俺はすぐに頷いた








先生もいるし他の人もいたらから体育館の隅っこに移動した









烏｢…アイツが初めて来た時は、その場で気を失った｣









…その時もそんな酷く暴力を……








西｢…クソ…アイツ…どれだけAを殴ったんだよ…｣









気を失うほど。







ついこの間は、俺の名前も呼んだし気は失っていなかった









烏｢…体力がほとんど残ってなかったんだ｣









……








それほどにまで…








すると烏養さんは言いにくそうに少し顔を逸らして、難しい顔をした

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