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黒｢…え｣
黒尾くんの呟くような小さな声が、静かな空間だからかすごくハッキリと聞こえた
……ダメだ
｢…あ…引き止めてごめんね。帰ろうとしてたよね｣
私は絶対に入れ替わらないであろう空気を無理矢理変えるように頑張って大きめに声を出した
笑うように目を出来るだけ細めて涙が溜まるのを堪えて。
私は黒尾くんの元に向かって追い出すように体を押した
黒｢…や…あ…｣
黒尾くんは何か言いたげだったような、なんとも言えない顔もをしていた気がする。
私は構わず黒尾くんの背中を押す
普段こんな事はしないけど…
｢…遅くなっちゃったね、あはは｣
そんなことを言いながら玄関まで追いやる
………ごめん
…ごめんね。言い逃げみたいにしちゃって
玄関について黒尾くんは自分の靴を履き、またこちらを振り返った
黒｢……星｢気を付けて帰ってね｣
……。
黒｢……おやすみ｣
黒尾くんはどこか悲しそうな表情をしていた
ごめん
今黒尾くんの言葉を聞いたら絶対に寂しくなってしまうし、絶対に泣いてしまう
それがわかってたから、私は黒尾くんの言葉を遮って無理矢理会話を終わらせた
なんて言うかなんて全く分からない
でもまだ聞けない気がした
｢……ごめんね｣
扉に手をかける黒尾くんにそう呟くとまたこちらを向いて小さく微笑んでいるようにも見えた
｢……ありがとう…｣
またそう呟いていたけど、扉が閉まっていたから聞こえたかはどうか分からない。
…。
私は大きく息を吐いてその場に座り込んた
なんか…黒尾くんが家にきてからバタバタして終わった気がする…
あんまり覚えてない
…でも…伝えた。
……夜久くん…夜久くんがああ言ってたから伝えた…
間違ってないよね…？
やっぱり言葉にして伝えるとより現実味が増して胸が苦しくなる
…！
bbbbb…
ポケットに入れていた携帯が震え始めて画面を見た
"孤爪研磨"
…タイミングがいいな
でも私は出ずにまた携帯を床に置いて顔を自分の膝に伏せた
……うぅ…研磨くん…
そういえば最近研磨くんとお話できてない…
少し変だったような…
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作者名：PUPU | 作成日時：2021年11月1日 20時
