ちょっと変わった出会いから 8 【HQ】 (ページ30)

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何も言ってないのに夜久くんも神崎さんも友くんも、みんな上手く機転をきかせてくれた

…しっかりしろって事だよね

｢…ずっと｣

黒尾くんは背を向けたまま荷物を持ち上げていた

｢…ありがとう｣

私が小さくつぶやくと黒尾くんの手はピタリと止まった

…ありがとう

本当に

また声に出てたのか黒尾くんはなんとも言えない顔でこちらを見ていた

｢…黒尾くんはもちろん、夜久くん、研磨くん…

みんなと仲良くなれて良かった｣

黒尾くんはずっと優しい顔をしていた

いつもみたいな、優しく話を聞いてくれるみたいな

｢…みんなが作ってくれたこの時間も…

まだ終わって欲しくないよ…｣

このまま時間が止まって欲しい、なんて。

みんなとずっと、

ずっと楽しく仲良しでいれたらな。

するといつの間にか目の前に黒尾くんの顔があって心臓が跳ねた

俯いていたみたいで黒尾くんは腰を屈めて私の顔を覗きこんでいた

黒｢これからも、ね｣

黒尾くんはいつものように励ますようにそう言った

｢……これからも｣

私が考えすぎなだけ。

｢…これからも仲良くしてくれる…？｣

返答なんて聞かなくてもわかってる

言わなきゃ…

"伝えられないでいなくなられたら…"

…そんなに考える必要も無いのに。

みんなは優しいから悲しいって言ってくれる

あと私がみんなと離れるのが辛いだけ…

｢……私が…｣

黒尾くんは口を開いたものの私が話し始めたからか不思議そうな顔をしながら口を閉じた

｢…これは私の願望｣

うん、大丈夫。

｢これからも仲良く出来たらいいな｣

黒尾くんは変わらず不思議そうな顔をしながらも優しく微笑んでいた

｢…あと少し、楽しい思い出もたくさん作りたい｣

私は自信がなくなって黒尾くんの方を見れなくなった

でも、ダメだ。夜久くんの時も出来た

私は頑張って笑顔を作ると、黒尾くんは少し固まっていた

｢…私が学校辞めるまで、思い出作れたらいいな｣

静かな空気の中、自分の声だけが響く

｢私ね、学校辞めることにしたんだ｣

言った

ちゃんと、言えた

今すぐ離れるわけじゃないのにやっぱり苦しい