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「…でも私は少なくとも彼に助けられたよ」
私がそう言い返すと黒尾くんはまた少し難しそうな顔をした
黒尾くんの言葉に熱がこもってる気がしたけど、どこか悲しそうにも見えるし
…私の見え方がおかしくなってきたのかな。
「…大丈夫」
自信はないけど…小さくそう言うと黒尾くんは真っ直ぐと私の目を見た
黒「心配」
そんな目に一瞬引き込まれる感じがした
黒「みんな心配なんだよ」
…みんなに迷惑かけすぎちゃってるから…
…でも大丈夫、きっと。
「…私も頑張らなきゃね」
何となく空気を変えるように笑ってみせると、変わらず黒尾くんはなんとも言えない顔をしていた
…
"二人は二人でたくさん話すことがあると思う"
夜久くんが言っていた通りだ
黒尾くんからちゃんとした心配の言葉だったり…私がご飯食べていないとか…
二人じゃないと答えないような、話せないような気がする
…今日は沢山食べた
黒「…ごめん」
黒尾くんは小さくそう呟いた
…何に対して…?
黒「…俺は星野さんをたくさん泣かせてる…」
……
「そんな事ないよ」
…私が勝手に泣いてるだけであって、黒尾くんから酷いこと言われたとかそういう訳じゃない
「…偶然だよ」
全部私個人の問題。
……あの事も_________
伝えてもいないのにどうしようと悩んで、たくさん悩んで研磨くんや夜久くんの反応を見て泣いたり…
「…みんなが優しすぎるんだ」
私は出来るだけ笑顔を作った
言えるかな、今
空気はしんみりしてる
だけどここから明るい空気に変わることはあるだろうか
私たちに限って…
「…黒尾くん」
笑顔、笑顔。
"相手の反応を先に考えないで"
"伝えられないでいなくなられたら、本当に嫌だよ"
いつかの夜久くんの言葉が頭に浮かぶ
黒「……そろそろ帰らなきゃ」
空気はやっぱりずっと変わらない
私がいつもそういう空気にしちゃうんだろうな…
いつもみたいに言葉が出なくて。
困らせる
黒尾くんはゆっくりと立ち上がろうと机に手をついた
この時間はあと何回あるのか
みんなが作ってくれたこの時間。
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作者名:PUPU | 作成日時:2021年11月1日 20時