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私は黙ってお兄さんの話を聞いていた








『…あ、お金の心配はしないで』








私が思っていたことが伝わったのか、お兄さんは少し慌てたようにそう言った








『……散々こき使われて、休みの日だって少ない、もちろん使う時間すら無い…





そこ無駄に給料だけ高かったからもう十分なくらい溜まってるんだ』








…へえ。




お兄さんはだんだんと気が緩んできたのか、敬語がなくなって前より少し話しやすそうにも見えた







私もその方が気が楽だから良かった








『…元々、お金が溜まったらそこでの仕事を辞めて自営業を始めようと思ってて準備をはじめてたし…』









……そうなんだ






彼なりに苦しい事から解放されて自分の道へと進もうとしてたんだ







少し凄いなと思ってしまう、それと同時に社会の厳しさも。








「…仕事頑張ってください」








また1から始まる事になるんだろうけど、お兄さんにとってはそれが良いことなんだ







1から…








私もお兄さんのように楽しい気持ちでいられるのかな。








『ありがとう




Aちゃんは学校、楽しい?』








お兄さんの顔を見ると、表情もかなり力が抜けてきた気がする







少し微笑んでいるようにも見える








だけどよく見るとさっき泣いていたからか目が赤く、うっすらとクマが見える








仕事のせいか、私と同じように昨日眠れなかったのか…









「…楽しい」







私が小さくそう呟くとお兄さんは不思議そうに首を傾げた








「…最近はすごく楽しいって思ってしまって」








最近になって。








「…私、もう少しで学校を辞めるんです」








私がそう言うとお兄さんは気まずそうな顔を浮かべた







理由もなんとなく話すとやっぱり空気は気まずいまま。








『弟が一番大切なんだね』








彼はまた少し悲しそうな顔をしてそう呟いた








「…私はもう高校生まで過ごせたからいいんです」








お兄さんはどこか難しそうな顔をしていた








『…って事は昨日一緒にいた彼……彼氏?とも離れるのかぁ』






……昨日………一緒にいた人は…研磨くん?





彼氏?









「…友達です」








私がそう言うとお兄さんはかなり驚いていた









『…友達にしては……いや何でもない





とっても頼もしい友達だね』







お兄さんは昨日ことを考えているのか、なにか考えながらそう言った

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PUPU(プロフ) - は る くさん» 更新遅くて申し訳ないです(´;ω;`)そして嬉しいお言葉ありがとうございます! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
は る く(プロフ) - ノンストップで読んじゃいました。。。続き楽しみにしてます!!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 20d1569ebb (このIDを非表示/違反報告)
PUPU(プロフ) - redstarm53さん» 少しでもそう感じてもらえてるなら良かったです!ありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 10時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
redstarm53(プロフ) - むちゃくちゃドキドキして、すごく焦ったくて、めっちゃ青春って感じです!!!続きをいつも楽しみにしています。更新ありがとうございます! (2020年5月21日 0時) (レス) id: cfdf260033 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:PUPU | 作成日時:2020年5月5日 11時

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