191 ページ42
『本当にいいの？近くまで送るよ？』
先生は私の家の前で車を止めてそう言った
孤｢…大丈夫です｣
研磨くんは少し俯きながら先生の気遣いに何度もそう答えていた
先生と目が合うと困ったように眉を下げていて、私は思わず苦笑いを浮かべた
多分、研磨くんは先生と2人きりの車の中が嫌なんだろうな…
今のこのやり取りも少しめんどくさそうに見えるし…
そしてふと思い出して、車に近付いた
｢…あ…先生
明日…、学校休みたいです｣
そう言うと先生は少し目を大きくしたものの、すぐに優しい目に変わるのがわかった
｢…翔……弟が起きるかもしれないから｣
いつ起きるか分からない
もしかしたら明日起きる可能性もある
『うん。大丈夫よ
ゆっくり休んで、落ち着いてからで大丈夫だからね』
先生は目を細めて笑顔を見せてくれた
｢…ありがとうございます｣
その優しさも私の今の心には痛いくらいに染みる
しばらくして先生は研磨くんを渋々、置いてそのまま去っていった
すると研磨くんは大きく息を吐いた
……また迷惑かけちゃったな
関係無いのにこんなに夜遅くまで。
孤｢…学校でも言ったけど、凄いよ｣
私が声をかけようとしたら研磨くんの方が口を開くのが早かった
…凄い？
孤｢…こんな事があったのにもう落ち着いていて
相手の事を考えてるでしょ｣
研磨くんと目が合うと何か見透かされているようで胸が跳ねた
孤｢無理は駄目だよ、特に今は｣
私は研磨くんから視線を逸らすも、研磨くんはまだこちらを向いている気がする
急に空気が冷たく感じて、心までひんやりする
｢…翔は起きるよね…？｣
当たり前のように。
珍しいくらいに前向きに考えていたこと。
考えようとしていた
その事でさえ、研磨くんの優しい言葉によって心の奥底にいた本音が顔を出す
起きる可能性もあれば、起きない可能性だってある
出来るだけ考えないようにはしていた
また急に止まらなくなった涙を拭いながら研磨くんの方に体を向けて彼の答えを待つ
研磨くんはあやす様に優しく抱きしめて頭や背中を撫でてくれた
孤｢…必ず起きるよ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
PUPU(プロフ) - は る くさん» 更新遅くて申し訳ないです(´；ω；｀)そして嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2020年5月26日 21時) (
レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
は る く(プロフ) - ノンストップで読んじゃいました。。。続き楽しみにしてます！！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 20d1569ebb (このIDを非表示/違反報告)
PUPU(プロフ) - redstarm53さん» 少しでもそう感じてもらえてるなら良かったです！ありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 10時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
redstarm53(プロフ) - むちゃくちゃドキドキして、すごく焦ったくて、めっちゃ青春って感じです！！！続きをいつも楽しみにしています。更新ありがとうございます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: cfdf260033 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：PUPU | 作成日時：2020年5月5日 11時
