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『こっちこっち…!』








近くまで来ると、先生が大きく手招きをしていた







ようやくたどり着けたけど、着いてよかったのか分からない






緊張感は大きくなっていく









『星野さんの荷物はもう車に乗ってるから、急いで』









先生も私を落ち着かせようとしてるのか、優しく肩に触れると優しく微笑んでいた









『…って孤爪くん。またこの組み合わせだったのね』








私を送ってくれるというのは保健室の先生だった







大丈夫






大丈夫。






あの時と同じなわけない








涙は出ずとも、時々周りの声が聞こえなくなる







その都度研磨くんが気付かせてくれる








今も背中を押されて、ハッと顔を上げる







先生は車の扉を開いてこちらを見ていた






私があと数歩行って乗り込むだけ









「……行けない……っ」








…やっぱり怖い






私は握っていた研磨くんの手を強く握りしめていた








先生もどんな状況かもわかっていないから、おそらく声をかけづらいんだろう







少し困ったように悩んでいた









…行かなきゃ




行かなきゃ行けない







でも父さん母さんみたいに、二度と会えないなんて








そう考えたら足が動かなくなってしまう









孤「…俺も行くよ」








隣から聞こえた声にふと顔を上げる








『…でも孤爪くんは午後の授業が…』







先生も一応先生






無駄に欠席、早退させるなんて簡単には勧めない









孤「頭痛い、まだ風邪治ってないのかもしれない」









研磨くんの視線は先生へ真っ直ぐ向けられていた








……あぁ…心が痛い








『……私だから騙されたことにしてあげる』









先生は少し悩んだ後、そう言って小さく笑っていた









『さ、早く』








先生は私と研磨くんの背中を押すと、運転席へと移動した






私の足は固まったままだったけど、研磨くんに優しく背中を押されて車の中に乗り込んだ









心臓の音は大きくなって、気味が悪い








孤「大丈夫」








研磨くんはまた安心させるように私の手を握っていてくれた









変な事は考えないようにはしていたけど、車の中の空気も心地良くは無かった









父さん母さん








翔を守って








神様、どうか一人にしないで______________









私は不安で吐き気を催す中、心の中で願いながら強く目を瞑った

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PUPU(プロフ) - は る くさん» 更新遅くて申し訳ないです(´;ω;`)そして嬉しいお言葉ありがとうございます! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
は る く(プロフ) - ノンストップで読んじゃいました。。。続き楽しみにしてます!!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 20d1569ebb (このIDを非表示/違反報告)
PUPU(プロフ) - redstarm53さん» 少しでもそう感じてもらえてるなら良かったです!ありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 10時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
redstarm53(プロフ) - むちゃくちゃドキドキして、すごく焦ったくて、めっちゃ青春って感じです!!!続きをいつも楽しみにしています。更新ありがとうございます! (2020年5月21日 0時) (レス) id: cfdf260033 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:PUPU | 作成日時:2020年5月5日 11時

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