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俺は頷いた。
彼女の願うことなら何でも聞いてやるし叶えてやろうと思った。
『最後の』という言葉は無視して。
体を起こした彼女に続いて俺も起き上がる。
時計を視界に入れると、随分時間が経っていた。
「お願いって？」
『絶対にその通りにしてくれる？』
質問に質問で返してくるあたり、簡単な願いじゃないのかもしれない。
それでもいい。
「うん、絶対」
彼女は泣きながら笑って、口を開いた。
『ずっと、笑ってて』
あぁ、やっぱり彼女はこういう人だ。
俺の視界はぼやけた。
歯を食いしばって涙を零すまいと目を固く閉じる。
『ホソクの笑顔は…私を幸せにするんだよ。知ってた…？』
そんなことを言われたら
余計に目が開けられないに決まってる。
今にも流れてしまいそうな涙を止めることが出来なくなるだろうから。
「…俺も、」
「Aの笑顔が見られることが、一番の幸せ」
言い終わって目を開けたら、
やっぱり一筋流れてしまった。
でも、Aなんかもっとボロボロ泣いてたからいいよな？
『私は泣きながら笑ってるから問題ないの！笑』
なんて、ほんとに笑い泣きの顔で言うから俺もつられて笑った。
無理に笑えとは言わない。
本当に幸せで、楽しいと思ったときに笑ってくれればそれでいい。
彼女の死が変わることはない。
でも、それまで俺はAをたくさん笑わせるって決めたんだ。
きっと、きっと、俺達二人は大丈夫。
隣で俺を見ながらまだちょっと涙を浮かべている彼女の頬を撫でる。
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「ほら、A」
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「笑って」
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-fin-
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作者名：とまと | 作成日時：2016年8月25日 21時
