BTS short story (ページ33)

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ベンチ-TH- ページ33

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「隣、いいですか？」

そう言って優しく微笑んできたのは美しい男性だった。
整った顔立ちで、白いタートルネックの服が似合っている。

どこかで見たことがあるような…
そんな気がしたけど特に気にしなかった。

『あぁ、どうぞ』

私は置いていた本をどけて自分の膝の上に載せた

ここは、私の通う大学の近くにある公園だ
都会にあるとは思えないほど緑が豊かで、とても落ち着く。

大学の提出用のレポートが終わったから、
本を読もうとここに来たんだけど…

「いつもここに来るんですか？」

隣に座った彼は、私に話しかけてきた

『いえ…頻繁にってわけではないです』

そう答えながらも、私は不思議に思った

他にもベンチは空いてるのに、
なんでわざわざここに座ったんだろう…？

「素敵な場所ですよね」

『そうですね』

いつの間にか、遠くで遊ぶ子どもたちを二人で見ていた

知らない人なのに、心が落ち着いて。

ちらっと見てみると、彼もこっちを見て笑った。
四角くなる口がなんだか可愛いかった。

「あ、僕のことは気にしないで読んでてください」

私の読書の邪魔をしたと思ったのか、そう言ってくれた

私はまた並んだ文字に視線を落とす。
なのに、なぜか内容が頭に入ってこない。

…隣の人が気になるのだ。

悪い意味ではない。

興味がある…ということ。

『あの、』

「はい？」

小さな勇気を出して、訪ねてみた

『この辺りに、住んでらっしゃるんですか？』

「うーん…」

彼は考えていた。

…え、なんで考える必要があるの…？

住んでないなら"ない"住んでるなら"住んでる"って言えばいいだけなのに…

「まぁ…住んで、ますかね」

その曖昧な返事に私は何を言うべきか迷った。
もしかしたら、何か事情があるのかもしれない。

人の心にずかずかと入る気もしなかったので、
そうなんですね、とだけ言ってまた本に目を戻した。

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