BTS short story (ページ27)

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『ただいま…』

家を出た時よりもさらに暗い気分で玄関の扉を開けた

おかえり、なんていう言葉が返ってきた日はいつだっただろうか…？

仕事が忙しい彼とは毎日会えない
同棲した後も、する前とあまり変わらない

ただ、余計に寂しさが増しただけ。

不安も、彼が家に帰ってこない日と比例するように大きくなっていく

そんな不安だらけの毎日を送ってる中で、
あれを目撃してしまった

あの時は、彼が私に

"会えない"

と送ってきたカトクを見つめながら泣いたっけ。

彼は、私の知らない女の人と歩いていた。
仲良く笑い合いながら。

ただその二人の姿を突っ立って見ることしかできなくて。

頭によぎった"浮気"という言葉を必死で振り払った。

『ユンギ…、』

一人には大きく感じるソファに力なく座った
下を向けば涙が溢れてしまいそうだから上を向く

『いつ帰ってくるの…』

鼻の奥がツンとして視界がぼやける

お願い、帰ってきて。

私を抱きしめて。

前みたいに言葉をかけてよ。

そっけなくてもいい。

ユンギの想いがどこにあるのか教えて。

連絡をしても既読すらつかない
仕事をしてると思うと電話も躊躇われる

もう、どうしたらいいか分からない。

話をしようにも、
浮気してるか問いただそうにも、
まず本人がいないんだから。

あぁ…私はいつからこんなに弱くなったんだろう。

ついに、堪えきれなくなった涙が頬を伝った

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