幼馴染み-HS- ページ11
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好きで好きでたまらないのに、
未だに告白する勇気がないのは
"幼馴染み"という壁があるから。
簡単に乗り越えられそうなものだけど、
それは想像しているよりも遥かに高い。
だから、私はこうして10年以上
胸の中に想いを留まらせている。
好きになったのは、いつからだろうか。
もう…覚えてないや。
「Aおっはよー」
『ホソクおはよ』
朝から元気な声が聞こえる。
「んだよ、元気ねぇなぁー!」
『あんたが元気すぎるんでしょうが』
「そりゃー俺はお前の"希望"だからな!」
隣の席で、そんな風に言う彼の笑顔は
今日も眩しい。
そう、彼は私の"希望"だ。
いつだって、どんなときだって
私に希望を与えてくれる。
そんな明るい彼に疑問を持って、
私は以前聞いたことがある。
……………………
〈ホソクはさ、
ツライなって思うときないの?〉
二人で並んで帰ってる時に、
疑問をぶつけてみた。
〈なんだよ急に。笑〉
〈や、だっていっつも笑ってるから〉
私がそう言うと、
彼はふっと真面目な顔になった。
今まで見たことがないくらい真剣な顔で、
私の心臓は一気に騒ぎ始める。
〈ん、あるよ〉
〈どんな…とき?〉
心臓のドキドキをごまかすように、
私は聞いた。
〈俺がツライときは、
お前がしんどそうなとき〉
想像もしていなかった答えに驚いて、
ホソクの顔を見ると彼は…。
笑っていた。
眩しい笑顔だった。
〈Aが楽しそうにしてたら俺も楽しいし、ツラそうにしてたら俺もツライ〉
"だから、いつもAには笑っててほしい"
そう言ってくれた彼の頬が少し赤く見えたのは、夕日のせいだったに違いない…。
……………………
人によっては、これって告白?
みたいに思うんじゃないかな。
でも、私は…なんていうか…。
勘違いするのも嫌だし。
ホソクの優しさを
伝えてくれただけなんだと思う。
彼にとっては、"幼馴染み"に対してかけた言葉以外のなにものでもないと思うから。
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作者名:とまと | 作成日時:2016年8月25日 21時