◯ ページ2
.
どれくらい経ったか分からないけど、
先輩は泣き止んだ。
沈んでいく夕日を見ながら、
心を落ち着かせてるみたいだ。
そんな横顔も綺麗だなって、
よくないことを考える。
子どもたちが帰って
静かになった公園で並んで座る俺達。
傍から見たら恋人同士に見えるかな。
そうだったら…まぁ、嬉しいけど。
「…グク」
『なんですか?』
辺りはすっかりオレンジ色に包まれた。
「ありがとう」
赤くなった目で、先輩は俺に笑いかけた。
大したこと何もしてないのに、
そう言われるとなんか。
なんか、さ。
『今の彼氏と別れて』とか
『なんで泣かす奴と付き合うの』とか
ガキみたいなこと言いそうになるじゃん。
そんな言葉は心にしまって、
『どーいたしまして?』なんて普通の返事。
「グクが隣にいてくれると安心する」
分かってるよ、後輩としてってことくらい。
それでもやっぱり、
嬉しいって思っちゃうのは
しょうがないよね。
こんな弱虫な俺が言える言葉。
ほんの少しすっきりしたような表情の先輩へ。
オレンジの光に背中を押してもらって。
『俺、待ってます』
-fin-
183人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とまと | 作成日時:2016年8月25日 21時