99 ページ9
仙道さんはすごかった。
お兄ちゃんに、海南に食らいついてる。
だがオフェンスもディフェンスも仙道さんへの負担は大きかった。
.
残り10秒だった
2点ビハインドの陵南。
お兄ちゃんの持つボールを池上さんがスティール！
「いけぇ！仙道さん！！！！」
体育館に響いた。
仙道さんはお兄ちゃんに追いつかれた…
いや、
追いつかせた…？
最後、お兄ちゃんはブロックを辞めた。
そしてダンクをぶち込んだ仙道さん。
「今、牧くん辞めた…よね？」
「わんちゃん抑えられたんじゃ…」
「…あっはっはっ、、」
「A？」
やられたね、仙道さん。
試合は延長戦へ…
が、魚住さんのいない陵南はやはり厳しい。
最後は攻めきれなかった陵南。
89対83で海南の勝利。
.
仙道side
「神のところ行かなくていいのか？」
会場の裏であまり人が来ないところに1人で座ってたら、Aちゃんが来た。
「まぁ、おめでとうくらいは言いましたけど、それしか話してないですよ」
「そっか…ごめんな、」
「？」
「応援してくれたのに、勝てなくて」
「…仙道さんはかっこよかったですよ」
"かっこいい"なんてこの子は誰にでも言うんだろうな。
「それってどんな意味？」
正直、今の俺は優しい言葉では言えない。
「応援してくれてたのも嬉しかったけど、うちが負けてたからだろ？」
「仙道さんはわかってません。」
「？」
「昨日、どっちを応援するのか聞きましたよね私に」
「あぁ」
「あの答えです」
「うん？」
「答えです」
「え？」
「だから、答えですって。」
「つまり…？」
「//…仙道さん、明日勝ってインターハイに行ってください」
「はっはっ、プレッシャーかけるね」
「エールなんですけど」
ポンっと隣を叩くと、Aちゃんはちょこんと俺の隣に座った。
「今日、Aちゃんの応援がなかったら魚住さんが抜けたあと多分俺心折れてた。ありがとう」
「…私、仙道さんにたくさん元気づけてもらったんで、あのくらいなんて事ないですよ」
「じゃあ…」
これからも応援してくれ、俺の隣で
そう言いたかったけど、今はまだ言うべきじゃない
「いや、明日も頑張ろうな」
「はい」
「帰ろう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なおお | 作成日時：2021年3月20日 13時
