入学式 ページ6
「行ってきます!母さん!」
「行ってきます」
「気をつけてね。お母さんも後で行くからね」
今日は高等部の入学式だ。
一晩寝込んだもののすぐに回復したAと炭治郎は真新しい制服に身を包んで学校へ向かった。
「なぁ、A。煉獄さんのことは…いいのか?」
「…うん。でもいつかは…」
この時代、ネットを使えば簡単に調べられる。けれどAはあえてそれをしなかった。
「今はほら…入学するし自分の事で忙しいから…自由にどこにでも行ける年じゃないし、もう少し大人になったらちゃんと調べようと思うの」
「そっか…その時は俺も手伝うからな!」
「ありがとう」
二人は笑い合いながら高等部への門をくぐった。
その時。
「おらァ、入学生はそのまま体育館だァ!」
「…そこ、もっとネクタイを締めろ。入学早々服装に乱れのある奴は許さんぞ」
「へ?」
「えっ?」
間の抜けた声を出して思わず足を止める二人。
だって、そこにいたのは……
「ぎ、義勇さん…?」
「か、風柱……様?」
思わず呟いた言葉に二人が素早く反応をした。
「…おィ…初っ端これかよォ…」
「久しいな」
二人のこの反応。
間違いない。
「あ、あの…」
前世の記憶があるんですか、とAが口を開こうとしたその時。
「不死川!冨岡!そちらはどうだ?こちらはおおかた案内は終わったぞ!」
ヒュッとAが息を呑んだ。
間違えはず無い。
絶対に無い。
だって、
だってこの声は………
「どうし、………!?」
二人の目が合う。
「きょ…じゅろ、さん」
「…A………!」
二人の周りだけ時が止まったように感じた。
ザァァッと風が吹き、桜が舞う。
二人は無言のまま暫く見つめ合っていた。
「っ、」
杏寿郎さん。
本当に杏寿郎さんですか?
記憶はあるんですか?
私のことを覚えてくれていますか?
そんな言葉が喉まで出てきて、でも言葉にならなかった。
嬉しいのと不安なのと…心はぐちゃぐちゃで。
涙が出そうになるのを一生懸命堪えた。
煉獄が数歩近寄ってきてこちらに手を伸ばす。
その時だった。
「…煉獄、先に行く。遅れるなよ。」
「っ!あ、あぁっ…」
冨岡が静かに声をかけ、ハッと我に返る。
伸ばした腕を見つめて静かに降ろした。
「ええと、A!俺も先に行くから…体育館で会おうな!」
「炭治郎…」
何かを察知した炭治郎は小さく頷くと背を向けて去っていってしまった。
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紫音(プロフ) - スーちゃんさん» 遅くなりすみません。夢主ちゃんも色々悩んでますが、煉獄先生も頑張ってます(笑) (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 1999karuma@gmail.comさん» 遅くなりすみません。今世ではまた今世ならではの問題が色々ありますからね…幸せにしてあげたいです! (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
スーちゃん - 卒業まで付き合うこともキスもできないですね。卒業まで我慢ですね‼️がんばれ煉獄先生‼️ (10月31日 16時) (レス) @page4 id: 75511c09b5 (このIDを非表示/違反報告)
1999karuma@gmail.com(プロフ) - 今世ではどんな試練が待ち受けてるのか…。前世で大変な思いをした分、少しでも幸せに過ごして欲しいですね😍 (10月30日 21時) (レス) @page3 id: 754e2c97e2 (このIDを非表示/違反報告)
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