. ページ30
「と、とにかく!気をつけるように!」
「…はぁい…」
よくわからーん。と思いつつも取り敢えず頷いたA。前世ではそこまて険悪な仲ではなかったはず。…たぶん。
あまり深く考えないでおこう、と思いながらもAは温かいココアを一口啜った。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、下校時刻が迫ってきた。
煉獄は腕時計を見ると口を開く。
「…そろそろ最終下校時刻になるな。お開きにしようか」
「はい…」
少し寂しそうに答えるAに苦笑する煉獄。
「そんな顔をするな。これからは毎週手伝ってくれる約束だろう?」
「勿論です」
「ではまだまだこれからこういう機会は沢山ある。…だからそんなに寂しそうな顔をしないでくれ」
「う…ごめん、なさい」
思い出すのは鬼殺隊にいた頃…任務に行かなければならないと別れる時の寂しさ。
離れがたいけどどうしようもない。
長女だから我慢しなければとその都度自分に言い聞かせてきたが…煉獄にはお見通しだったようで別れるギリギリの所まで手を繫ぎ一緒にいてくれた。
…今はそれもできない、けど。
「さぁ、昇降口まて送ろう。鞄を持っておいで」
「ありがとう、ございます」
名残惜しさをぐっと押し殺してAは準備室を後にした。
校舎内に生徒は殆どいなく、二人だけの廊下をコツコツと歩く。
Aを気遣ってか他愛ない話を振ってくれる煉獄。それに相槌を打ちながら昇降口までの短い距離を楽しむ。
「…ありがとうございました」
「うむ、気を付けて帰るように!また明日会おう!」
「はい、さようなら」
軽く頭を下げたAは背を向けようとして…煉獄に呼び止められた。
「竈門少女」
「はい、っあ……」
煉獄の手が伸びてきて、長い指でそっと口元を触られる。
そのままその指を口に持っていって……
「な、えっ…えっ…!?」
「ふふ、口元に菓子がついていたぞ!」
「先生っ!こんな、昇降口ですよっ…!」
「誰も居ないのは確認済みだ。…ふ、君との秘密が増えてしまったな?」
「煉獄先生っ…!」
怒っても焦っても煉獄は笑うだけ。
「ふふ、すまんすまん。さぁもう帰りなさい。親御さんが心配してしまう」
「っ〜〜、さようならっ」
気恥ずかしさで赤くなったAはそのまま背を向けて昇降口を出ていった。
「(ずるい…あんなのっ)」
意識してはいけないのに。
まるで"俺を忘れるな"というように煉獄は絶妙なタイミングでAを惑わす。
185人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫音(プロフ) - スーちゃんさん» 遅くなりすみません。夢主ちゃんも色々悩んでますが、煉獄先生も頑張ってます(笑) (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 1999karuma@gmail.comさん» 遅くなりすみません。今世ではまた今世ならではの問題が色々ありますからね…幸せにしてあげたいです! (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
スーちゃん - 卒業まで付き合うこともキスもできないですね。卒業まで我慢ですね‼️がんばれ煉獄先生‼️ (10月31日 16時) (レス) @page4 id: 75511c09b5 (このIDを非表示/違反報告)
1999karuma@gmail.com(プロフ) - 今世ではどんな試練が待ち受けてるのか…。前世で大変な思いをした分、少しでも幸せに過ごして欲しいですね😍 (10月30日 21時) (レス) @page3 id: 754e2c97e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ