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手を綺麗にして社会科準備室に戻ると、テーブルの上にはマグカップが二つと茶菓子の乗った皿が置いてあった。


「あぁ、来たか。こちらにおいで。疲れただろうから少し休んでいきなさい」

「えっ、でも…先生、これは…」


一生徒にわざわざ飲み物とお菓子を用意するなど。
これでは特別な待遇をしているのが一目瞭然だ。


「その、私生徒ですよ…?いいんですか?」

「ふふ、俺と君との秘密だ。俺も丁度休憩したいと思っていたところだし、付き合ってくれないか?」


悪戯っぽく笑う姿に胸が高鳴ったのがわかった。
自然に頷くと、促されるままにソファーに座る。


「ココアは好きか?」

「あ、はい。好きです。家でよく飲んでいます」

「そうか、良かった!これは昨日俺の行きつけのスーパーで買ったスイートポテトだ!沢山あるからな、遠慮せずに食べてくれ」

「スイートポテト…懐かしいですね…」


思わず目を細めて呟く。
あの頃……まだ西洋の菓子が物珍しかった前世で、煉獄に初めてあげたお菓子だった。
煉獄は随分と気に入ってくれて、結婚して子供が産まれてからもせがまれて何度も作ったお菓子。
煉獄も優しく笑いながらそんなAを見つめた。


「ふふ、そうだな。…君は今でも料理をするのか?」

「はい。両親がお店で忙しい時には弟妹の食事を代わりに作ったりしてますよ。お菓子も強請られて作ることがよくあります」

「そうなのか!ぜひ食べてみたいものだ!そうだ、今度竈門ベーカリーに行かせてもらおう!教師の間でも君の所のパンは評判が良くてな、俺もぜひ食べたいと思っていたんだ」

「わぁ…!待ってます。…私はまだ店に出すことはできないですけど…新作のパンを考えたりはしているんです。それをお父さんが色々と改良したりしてお店に出してくれることもあるんです」

「なんと!原案を君が…!これは是非とも行かなくては!」

「ゴールデンウィークも定休日以外やっているので来てください」


気が付けば離れようとしていた事など忘れてとても楽しい時間を過ごしていた。
前世のこともたまに話してしまうけど、それを咎めることもなく自然に今の話に繋げてくれる。
前世の事を深く掘り下げることもなくあっさりと語ってくれる。
前世があって今もある、というように。
だから無理に意識しなくてとても心が楽だった。


「…そういえば、小さい頃から家族ぐるみで付き合っていた人がいるんですが」

「ふむ?」

「…その、私の師範…雨宮慧でした」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 夢小説 , キメツ学園   
作品ジャンル:アニメ
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紫音(プロフ) - スーちゃんさん» 遅くなりすみません。夢主ちゃんも色々悩んでますが、煉獄先生も頑張ってます(笑) (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 1999karuma@gmail.comさん» 遅くなりすみません。今世ではまた今世ならではの問題が色々ありますからね…幸せにしてあげたいです! (1月26日 4時) (レス) id: 3cb916d102 (このIDを非表示/違反報告)
スーちゃん - 卒業まで付き合うこともキスもできないですね。卒業まで我慢ですね‼️がんばれ煉獄先生‼️ (10月31日 16時) (レス) @page4 id: 75511c09b5 (このIDを非表示/違反報告)
1999karuma@gmail.com(プロフ) - 今世ではどんな試練が待ち受けてるのか…。前世で大変な思いをした分、少しでも幸せに過ごして欲しいですね😍 (10月30日 21時) (レス) @page3 id: 754e2c97e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2023年10月16日 15時

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