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目覚め ページ9

胡蝶の診察の結果、少なくとも骨折が治るまでは入院とのこと。
雨宮も縫った傷が塞がるまでは安静ということだ。


「ほら、君に見舞品を持ってきたぞ!」


診察が終わって胡蝶が出ていくと煉獄が戻ってきた。
そう言えば最初に入ってきたときに風呂敷を持っていた…とAは思い出す。


「芋羊羹、と…あっ、お団子」


任務の帰りにたまに寄る甘味屋。煉獄とも何度か寄ってそこの女将さんとは仲が良い。


「君が怪我をしたと言ったら心配していた!見舞にと多く包んでくれたぞ!」

「わぁ…!食べたいです」



煉獄がAの背中に手を回し、傷に響かないようにゆっくりと起こす。
背中に枕等を詰め込めば大分楽になった。


「…杏寿郎さんも、一緒に食べましょう」

「む、君の見舞品だぞ」

「……一人で食べるのは嫌です」


そういうとAはみたらし団子を手に取り煉獄の口元に近づけた。


「はい、あーん」

「っ、…!!」



思いもよらないAの行動に煉獄は口を押さえた。
当の本人は何してんの?と首を傾げている。



「い、いただこう!」


煉獄の大きな口が団子を一気に頬張った。


別の団子を取り出してあむっと頬張っているAを前に煉獄は心の中で誓った。


「(退院したら即刻炎柱邸に連れていく!もう辛抱ならん、絶対に食う!)」



ゾクリッ!


「………風邪でもひいたのかな…寒気が」








団子や芋羊羹を食べ、お茶を飲んだAはまったりと煉獄と雑談していた。

時折煉獄がAの頬や額に口付ける。
Aは煉獄の手を握っている。



まぁ、一言で言おう。



部屋の空気が甘い。






一時間程経った時か。
胡蝶がやってきた。


「失礼しますね」

「…しのぶ様…」

「うむ!どうした!」

「伊之助君が目を覚ましました」

「……!」



その言葉に、Aは煉獄を見た。


「……行きたいのか?君は安静なんだぞ?まだ傷も治りきっていない」

「でも、行きたいです…お願いします」

「…ふう。俺は君の"お願い"に弱いようだ」



溜息をついた煉獄はそっとAを横抱きにする。


「向こうも目覚めたばかりですので…お互いのために長居は良くありません。様子を見たら退室するのがいいでしょう」

「……はい」



胡蝶は目の前のやり取りとAが煉獄に抱かれているとこについては一切突っ込まない。
むしろAなら煉獄を止められるからそのまま手綱を握っててくれという感じだ。


珍獣の世話は専門家に任せるに限る。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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