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白昼堂々、堂々とのたまう煉獄である。
「…杏寿郎さんは、物好きです」
「そんなことはない!というか君はもっと周りを警戒しなさい。冨岡や宇随、不死川まで君に関心を寄せてるんだぞ!」
「……うーん、良くしては頂いておりますが…でも、それを言ったら杏寿郎さんだって…」
Aは言葉を切ると煉獄の胸にそっと頭を寄せた。
「A?」
「……女隊士たちの八割は、皆杏寿郎さんの事を恋慕してる、と思います。…優しいですし、指導も丁寧…何より強いし、人を惹き付ける魅力があるから…」
煉獄の胸に顔を埋めたままAはボソボソと語り始めた。
「杏寿郎さんは、嫌だと言いましたが…でも、杏寿郎さんも見惚れるほどの美男子なんですよ…それで優しかったら女性は放っておきません。だから、私だって不安で…。も、もっと自覚してください…。杏寿郎さんは、たくさんの女性から…視線を向けられているのです…」
最後の方が尻すぼみになってしまったが、煉獄耳にはちゃんと届いていた。
始めて聞くAの言葉に目を丸くした煉獄は一瞬固まった後にヒョイッとAを抱き上げた。
「きゃ…」
「俺の恋人は可愛い事を言うな!」
そのまま縁側に座った煉獄は膝の上にAを横抱きにした。
「正直に言おう、女隊士から想いを告げられたりしたことは幾度かある!しかしそれに応えたことは一度もないし、全く興味も湧かなかった」
「…………」
「俺は君しか見ていない、A。正直君以外の女性など全く興味が無くてな!君と出会うまでは千寿郎に心配されていたくらいだ!」
「…確かにそんなことを言ってました」
「ははは!そうか!」
煉獄はAの髪を梳くとそっと頬に口付ける。
「俺ばかりが君に焦がれていると思ったが…君も不安だったのだな」
「…はい」
「信じてくれ、A。俺は君しか見ていない。今すぐ拐って誰にも見られぬよう屋敷の奥に閉じ込めたいくらいに」
「…と、閉じ込め………重いですね」
「そのくらい君が好きなんだ」
真剣な目で言う煉獄に偽りはない。
Aは静かに頷いた。
「…でも、私の方が……杏寿郎さんを好きです…」
「む!俺の方が好きだぞ!これだけは譲れん!」
そんな事を笑い合いながら言い合い、何度か口付けを交わしてAを解放する。
「さぁ、着替えておいで。昼餉を食べに出よう」
「はい」
今思うと恥ずかしいことを言い合ったな…とAは宛がわれた部屋に向かった。
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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時