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満面の笑みを浮かべる煉獄とは正反対に、Aは、恥ずかしくて涙目だ。
そんなAをよしよしと撫でてやり、煉獄は布団をかけ直してやった。


「体は辛くはないか?辛ければ今日は稽古は止めておこう」

「…ん、痛いです…でも…」

「無理は禁物だ。何、これは俺も原因なのだからな。流石に初めてのまぐわいの後に稽古しろとは言わん!」

「…は、い…」

「良い子だ!だが喉が少し掠れているな…水を持ってこようか」

「お願いします…」


煉獄がゆっくりとAを解放して立ち上がる。
と、後ろを向いたときに肌蹴ていた浴衣の間から肩が見え…そこに何本かの赤い線があるのに気付く。


「……?」


怪我、だろうか…。
まるで誰かに引っ掛かれたような…


「ぁ……!」


そこまで考えてAは青くなり咄嗟に体を起こした。


「ま、待ってくださ…っ、ぅ…!」


手を伸ばして立ち上がろうとすると体の内側がズキンと鈍い痛みを発する。
慣れない痛みに思わず呻いてドサリと布団の上に倒れ込んでしまった。


「っ!A!無理は禁物だと言ったろう…!」


慌ててAを抱き締めてやり、そっと腰の辺りを撫でる。


「どうしたというんだ…」

「…その、肩…私が傷付けてしまったんですよね…すみません…!痛かったでしょう」


煉獄がキョトンとした。

昨夜、挿入する時に痛みを耐えるために煉獄の首に腕を回して…言われるがままに爪を立ててしまった…。
そこまで深くはないが血が滲んでいるのだ、痛いに決まっている。


「…ほ、本当に…すみません…すぐに治しますので、背中を向けてもらっても……」

「必要ない」

「…えっ」


治癒しようと伸ばした手は煉獄に捕まれ、そのまま指先に口付けられる。


「っ、杏寿郎さん…」

「これは君と一つになれた証だ。君がつけたこの傷さえ愛しい。だから、むしろ治さないで欲しい!」


今度はAがキョトンとする番だった。
しかし言葉の意味を理解して顔が赤くなる。


「っ…で、も…痛いですよ?お風呂で染みるでしょうし…」

「問題ない!」

「でも…」

「A」


低い声で囁かれ渋々引き下がる。


「心配してくれてありがとう!だが君からつけられた傷ならどんなものでも嬉しいんだ」

「……そういう言い方…ずるいです」

「ははは!さぁ、横になっていなさい」


煉獄はAをそっと横たえると部屋を出ていった。


その後、布団についた赤い染みを見てAが悲鳴をあげたのはまた別の話である。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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