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「はぁっ、はぁっ…」


傷だらけの雨宮とA。
どれも動けないほどの致命傷ではないが、呼吸で全て塞ぐには多すぎる。


「ったく…これだから上弦は嫌なんだよなぁ」


いつものように軽口を叩きながらも黒死牟からは目を離さない雨宮。


「…師範、傷…」

「お前に心配されるようは柔な鍛え方はしてねぇよ。ほら、前見ろ!」

「は、い」



雨宮が中心となり、それを補佐する形でAが刀を振るう。
自然とそんな闘いになった。
黒死牟の体には何度も傷をつけた。しかし直ぐに回復してしまう。呼吸を使うから、尚更。


「いくぞ、着いてこいよ」

「…はい」


「月の呼吸 参ノ型 鋭月ノ舞」

「月の呼吸 弐ノ型 月影ノ舞」



雨宮の鋭い斬撃が黒死牟を襲う。
それを弾いている隙にAは影に隠れるように体制を低くし、一気に躍り出た。


「はあっ!」

「…!なるほど、見事な連携だ…ならばこちらも行こう…」


首に一直線に向かう刃。
それを冷静に見た黒死牟は思い切り刀を振った。


「月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月」

「っぐ…!」


細かい斬撃がAの刀にいくつも当たり、軌道が逸れる。


更に襲いかかる斬撃にAが歯を食い縛ると……


「っ、A!」


雨宮の声がしてグイッと首を掴まれ後ろに引かれる。
投げ飛ばされるように地面に落とされたAはすぐに前を見据えた。


「っ、し、はん…?」

「げほっ、っ…さが、れ…A」


恐らくAが受けるはずだった斬撃を裁ききれなかったのだろう。
胸元を大きく切られて口からも血を流していた。


「止血…!早く止血してください!」

「あー…無理だ、な。こいつを前にしてゆっくり止血はできねぇ」

「っ、……!」


たまらずAは刀身に白い光を灯した。


「月の呼吸 伍ノ型 佳月の癒し」

「……!」


雨宮の体を勢いよく斬りつけると傷口に淡い光が灯る。
それを見た黒死牟が初めて表情を変えた。


「ほう…癒しの力を刀に乗せたか…これは、何と見事だ…」

「……許さない。貴方は絶対に…斬る」

「ふむ。勝てぬ相手を前にしてその気概…流石だ。さぁもっと見せてみよ」

「舐めるな!」


Aが踏み込む。
振り上げたその刀はあの時…妓夫太郎を斬った時のように白く激しく燃え上がった。


「……!なんと…これは」

「月の呼吸 漆ノ型 闇月の拒絶」



一瞬、黒死牟が動揺し動きを止めた。
Aはその隙を逃さなかった。


ガッ!


肩にAの刀が食い込む。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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