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幸福の中で ページ29

炎柱邸に行く。
その話を思いだし、ついでにそれがどういう事かを思い出したAは固まった。


「あ、あの、」

「どうした?来てくれるだろう?」


手を引き自分の胸の中にAを引き寄せる。
ゆっくりと髪を耳にかけてやり、口を寄せた。


「……来い、A。今更逃げられると思うなよ?」

「っ、杏寿郎さ…!」


ピクリと肩を跳ねさせたAは思わず煉獄を見上げる。目が合った途端、触れるだけの優しい口付けをされた。



「来てくれるな?」

「…………行き、ます」

「いい子だ」


不思議だ。どうして逆らえないのか。
煉獄の言葉には不思議な力があるなぁとAは頭の片隅でぼんやりと思っていた。
気が付くとAは頷いていて、それを見た煉獄はにこりと笑ってAの手を引いた。








炎柱邸には食料がないということで、道中色々と食材を買い込むことにした。


「俺は生家にいたときから台所は立ち入り禁止だったからなぁ…料理は君にお願いしたい!」

「………立ち入り禁止」

「うむ…何故か料理が燃えたり爆発するんだ」

「…………私、頑張って作ります」



火薬でも入れたのだろうか…。まさか野菜を切るのに炎の呼吸の型を使ったのか…?
色々と思うところはあるが、この謎はそのままにしておこう、とAはそれ以上突っ込まなかった。




「着いたぞ、ここだ!」

「…………わぁ」



沢山の荷物を持って辿り着いたのは立派な屋敷。煉獄の生家よりは小さいが、月柱邸と同じくらい大きい。



「……柱、凄いんですね」

「うーむ…優遇されている、とは思っているな。さぁ入ろう!」

「……お邪魔、します」


緊張した声で呟いたAに苦笑いし、肩を抱いて中に入る。
荷物を台所に置くとぴったりと寄り添ったまま簡単に家の中を案内して自室に戻った。


「ここが俺の部屋だ。君は隣を使え!間取りはここと同じで隠たちが手入れをしてくれているからな、綺麗なはずだ!」

「…ありがとうございます」


それから、と煉獄は前置きして満面の笑みでAを見た。


「A、この屋敷は君も自由に使うといい!俺がいなくても自由に出入りして家の中の物も好きに使いなさい」


煉獄の言葉にAはギョッとする。



「さ、流石にそれはできません…!ここは杏寿郎さんのお屋敷ですから、勝手に入るなんて…できません…」

「ここを君の居場所にしたいんだ。俺と、君だけの居場所に」



Aの頬をそっと挟むと顔を優しく笑う煉獄。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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