検索窓
今日:53 hit、昨日:58 hit、合計:249,611 hit

. ページ3

まさか。
まさかまさか。


Aの背中を汗が伝った。


「…こりゃぁ珍しい客だな。上弦の壱程の鬼がこんなところに何の用だ?」


雨宮がそう言うと同時に、雨宮の鎹鴉が音もなく闇夜に消える。
おそらく援軍を呼びに行ったのだろう。
それを気にせず上弦の壱は静かに口を開いた。


「私は…上弦の壱…黒死牟…お前に…用はない…。用があるのは……」


六つの目がギョロリとAに向けられる。


「……私っ…?」

「…お前が…竈門Aか。月の呼吸、それに治癒の力…」

「…ちっ、もう伝わってやがったか!」


苦虫を噛み潰したような雨宮の声。


「…師範、何故…」

「いいから集中しろ!くるぞ!」



その言葉に黒死牟を見るとスラリと刀を抜いていた。


「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮」

「!!」


"月の呼吸"。
その言葉を聞いたAは目を見開いた。

鬼が、呼吸を…それも自分と同じ…。


「っ…(考えてる暇はない!)」


あの、煉獄ですら歯が立たなかった上弦の参。
目の前の相手はそれより遥かに強いのだ。



「月の呼吸 壱ノ型 月華ノ舞!」


降りかかる斬擊をいなし、躱し刀を振る。


「…ほう。美しい技だ」

「っ…!」


ザシュッ!


避けたはずの斬擊がAの手足を切り裂いた。


「っう、ぐっ…!」


それは浅く致命傷にはならないが、危険を感じたAは距離を置く。


「A!」

「…大丈夫、です…直ぐに呼吸で止血できます…」


ヒュゥゥ…

と血を巡らせて止血をする。


「…あいつの斬擊は、大きい振りの中に細かく不規則な斬擊が混じっている。目を頼るな。同じ名前の呼吸でも俺達の技とは全く違う」

「……っ、はい」



そんな二人をジッと見つめる黒死牟。


「……ふむ…荒削りなのは、若さ故か…まだーーには及ばぬが…では始めようか」



月柱邸の庭に殺気が満ちる。
Aが冷たい汗が額を流れるのを感じて再び刀を構えた。









その頃。

柱たちの元に驚くべき知らせが届いた。



「カァー!月柱邸ヲ上弦ノ壱ガ襲撃!襲撃!元月柱・雨宮慧ト竈門A隊士ガ交戦中!至急援護二向カエ!」


声高に鳴くのは雨宮の鴉と途中で合流したAの鴉・睡蓮。
二羽は主を助けるために空を舞う。



その知らせに血の気が引いた者が一人いた。


「よもや、上弦の壱だと…!?っ、すぐ向かおう!無事でいてくれ!Aっ…!」


すでに近くまで戻ってきていた煉獄は有らん限りの早さで愛しい恋人の元に向かった。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (260 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
666人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。