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夜も遅く、他の患者もいるので一先ず話はお終いとなった。
「不死川、感謝する!不死川が来てくれなかったらAは……」
「…鬼がいたから切っただけだァ…それより煉獄、お前随分あいつに入れ込んでんなァ」
「あぁ、恋仲だからな!」
煉獄の言葉に不死川は小さく目を見開いた。
「…鬼の妹がいんだぞ?それとも治癒の力を鬼殺隊に留めておくための繋ぎか?」
不死川がそういった瞬間、煉獄から軽い殺気が放たれる。
これには近くにいた胡蝶も驚いた。
「煉獄さん、」
「……不死川。繋ぎなど冗談でも許さん!治癒の力の有無など関係ない。俺はAという人間に惹かれたからこそ恋仲になった。……それに、鬼の妹も俺は認めている」
「あァ?」
「前の列車の任務で、竈門妹が乗客を必死に守っているのをこの目で見た。傷付いても必死に鬼の攻撃から人間を守る彼女を俺は隊士として認めている!」
言い切った煉獄に不死川は呆れたように溜息をつき、胡蝶は苦笑した。
「まァ、せいぜい頑張れやァ。俺はもう行くぜ」
「うむ!Aのこと、感謝する!」
不死川が去った後、胡蝶は煉獄に向き直った。
「煉獄さんは…」
「彼女の様子を見る!」
「……というと思って、病室の近くの部屋に布団を用意させてあります。そこで休みつつAさんの様子を見ては?」
「恩に着る!」
「いえいえ。…私も怒っているのですよ。私のこの屋敷で、許されないことを……」
静かに怒る胡蝶。
カナヲと同期であり、自身が夢を託した竈門兄妹。不在とはいえ自分の管轄する屋敷でこのような事態を引き起こしたのだ。…決して許すまい。
「私も休みます。どうか煉獄さんもご無理なさらず…貴方が倒れたら悲しむのはAさんですからね」
胡蝶はそう言い残して廊下を歩いていった。
「……A」
ベッドに眠るAは清潔な病室着に着替えさせられ、髪も乾かされている。
腕には数本の点滴がつけられていた。
それを痛ましく思いながらもそっと身を屈めて口付ける。
……いつもより熱い唇。
今は落ち着いているのか、苦し気な様子も見えず深い眠りについている。
「可愛い眠り姫…早く目覚めて俺に話しかけてくれ」
髪を掻き分けて額から顎まで口付けの雨を降らせる。
触れたくて触れたくて、仕方がなかった。
服を脱がして、その白い肌に、敏感な所に直接触れたらどんな声で啼くのだろう。
愛しい女を前にして、煉獄の欲望は高まるばかりである。
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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時