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「ぅ、あっ……!」


いつもだったら直ぐに体勢を立て直しただろう。しかし木にぶつかった体はそのままずるずると崩れ落ち、背中を木に預けるような形になってしまった。


「(…痛っ…!…刀、ない…どうする……)」


隊士たち三人は慌てて構えるものの、完全に引き腰だ。
見たところ体は大きいが、血鬼術は使えないようだ。通常であれば庚くらいの実力があれば余裕で倒せるが……


「こ、こいつ固い!くそ、簡単には切れねぇぞ!」

「き、気持ち悪ぃ顔しやがって!おい!お前も戦えよ!何呑気に座ってんだ!」



隊士の一人がAに向かって怒鳴る。
何という理不尽な、とAは痛む頭で思った。

今のAは隊服すら纏っていない。
刀が無いことも高熱で大して動けないことも伝えた。
なのに、この言い草。


「っ、もういい!こいつを置いて下がるぞ!」


一人の隊士の言葉に残る二人が頷くと、Aをその場に残したまま走り出した。
……逃げた、のだ。


残されたAは何とか木に手をついて立ち上がる。


「(どう、する…なに、か…しないと…殺され、る)」


鬼は逃げた三人よりこの場にいるAを獲物として捉えている。


「(だ、め…もう、意識…が…)」


視界が歪んできたその時。



「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」



物凄い風と共に鬼の頚が一瞬で飛んだ。



「(かぜ、の呼吸…この、こえは……)」


安心感からか力なく地面に崩れ落ちる。



「無事か……って、オイ、お前はァ…!」


振り向いたその男は、不死川は目を剥いた。






不死川は見廻りの帰り、近道として森の中を歩いていた。
鬼の気配はないが雨が降りだしたので小走りになる。


「クソッ、鬱陶しい…」


その時、空から声が聞こえてきた。


「森ノ出口ニテ鬼ガ出現!応援!応援!」


頭上を見上げると珍しい白い鴉。
誰かに指示を出しているというより近くにいる人間を探しているようだ。


「面白れェ!おい、鴉!案内しろォ!」

「!カァァァ!」


不死川に答えた鴉は急降下してくると直ぐに案内すると言わんばかりに不死川の前を飛んだ。



全力で走ると直ぐに鬼が見えてきた。
近くには白っぽい服を着て座り込む人間がいる。

一般人か、と思いながらも地面を蹴り鬼を一刀両断した。

そして声をかけようと振り向けば……



「お前、竈門A…!」



地面に倒れ浅い呼吸を繰り返すその少女は…

不死川が気に入らない少年の、双子の妹で。
少しだけ興味のある隊士だった。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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