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「グハハハ!よくぞ気づいた炭八郎!」
「…ヤモリ?」
「俺…仰向けだから」
伊之助は炭治郎のベッドに着地する。
「こら、猪頭少年。降りなさい」
「伊之助、駄目。炭治郎は目覚めたばっかりなんだから」
「俺はお前よりも七日前に目覚めた男!」
煉獄とAの制止を無視して伊之助は大声で叫ぶ。
「良かった…伊之助は、すごいな……」
「へへっ!ふふ、もっと褒めろ!そさしてお前は軟弱だ!心配させんじゃねぇ!」
「…伊之助、静かにして。あとベッドから降りて」
Aの再度の制止にも耳を貸さない。
アオイが「降りて!」と引っ張るのも無視だ。
流石にこれ以上は、と煉獄が口を出そうとした時、ビキッとAの額に青筋が入るのが見えた。
「……A」
煉獄が咄嗟に名前を呼んだがもう遅い。
「……伊之助」
「あ?うるせぇぞいも子!」
振り向いた伊之助が見たのはいつも以上に無表情なAの顔だった。
「いい加減にして。炭治郎が目覚めたばかりなのがわからないの。私やアオイさんどころか杏寿郎さんの制止まで無視してギャーギャー騒いで挙げ句の果てにベッドに乗って、少しは病室だってこと弁えろ。炭治郎が悪化したら蝶屋敷の二階から逆さ釣りにして下から箒で突きまくってその猪の皮の上から目に塩塗り込んで目潰しして牡丹鍋にしてやるから」
「「「………………」」」
病室が静まり返った。
後藤と三人の少女はその言葉の内容を理解して震えている。
アオイとカナヲはポカンとしている。
Aの印象からは想像できなかだたのだろう。
炭治郎と煉獄は若干の冷や汗をかき。
当の伊之助は、何だか胡蝶と似たような空気を感じて固まっている。
暫くして
「ゴメンネ」
と小さな声が聞こえた。
「ほら、落ち着きなさいA」
「………はぁい」
煉獄が額にそっと口付ければAの顔が綻ぶ。
やっと空気が緩んだ。
「猪頭少年、竈門少年は重症なんだ、それを頭に入れて行動しなさい」
「ゴメンナサイ」
「うむ!反省すればよし!では俺達はそろそろ行くぞ!Aもまだまだ全快ではないのでな」
「……失礼します。炭治郎、お大事に…早く良くなってね」
「あぁ……Aもな。また話そうな」
炭治郎も限界だったのか今にも瞼を閉じそうだ。
それを見てAは煉獄と共に部屋を出た。
「…む、A…体が熱くないか?」
「…え」
煉獄が眉を顰めてそういったのはその日の夕方近くだった。
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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時