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「お前…あの上弦から何か聞いたか?」

「………"千代"という名前を…それから、私の力を見て誰かと重ねているようでした」

「…そうか。取りあえず今は体を休ませろ。いいな」

「……。はい。師範、ありがとうございました。師範がいなければ私はあの鬼に…」

「可愛い弟子を守るのは師範の勤めだ。炎柱、そいつを頼んだ」

「お任せください。さぁA、君も部屋に戻るぞ」

「……はーい」



雨宮の説明に納得しなかったが、諦めて部屋を出る。というか連れ出される。


「さぁ、横になりなさい」

「……杏寿郎さん、は…休めてますか?」


ふと気になって煉獄を見上げる。
確か、昨日は任務帰りに直接Aたちを助けに来たはずだ。それから付き添ってくれていたとしたら……


「ふ、君が眠っている間に俺も休んだ!だから心配するな!」

「…でも、ちゃんと寝てほしいです…お願いですから、きちんと帰って、お風呂に浸かってご飯を食べて…ゆっくり休んでください」


欲を言えば側にいて欲しい。
隣にいて沢山撫でて欲しいし口付けもして欲しい。
けれど煉獄は任務もある。一日寝ているAとは違うのだ。


「…君は、本当に…」


煉獄の手がそっとAの頬を撫でる。
愛しい恋人が入院していると知ってのんびり休める男がいるだろうか。
けれど、優しい彼女は煉獄が大丈夫と言ってもきっと心配してしまうだろう。


「…わかった、君が望むなら…きちんと休もう。ただし出来る限り顔を見に来る。来たら目一杯甘やかす!抱き締めるし口付けもするし、移動は俺が抱える。食事も俺が食べさせよう!」

「…それ、私にしか得が…」

「ふふ、何を言う。可愛い恋人を存分に甘やかすことができるのだぞ!俺も楽しみで仕方がない!」


Aの頬がほんのりと赤くなる。


「治ったらまた稽古と任務の連続だ。せめて入院中くらいは素直に甘えなさい。何のために俺がいる」

「……はい」

「竈門少年も直に目覚める。何も心配せずにゆっくりと寝ると良い」


優しく布団をかけてやるとそっと髪を梳く。


「お休み、俺の可愛いA」

「ん、…杏寿郎、さん」


唇に柔らかい感触を感じたAはそのまま誘われるように眠りに落ちていった。






病室をそっと後にした煉獄は静かに笑った。



生き残ってくれて本当に良かった。
鴉からの応援を聞いたとき、柱としての自分が冷静に告げた。

「竈門Aは生きてはいないだろう」

と。


それでも。
彼女は、生き残った。

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柚葉(プロフ) - 心頭滅却!…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です!更新頑張りますね! (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね!あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった!! (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年9月5日 13時

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