月の襲撃 ページ1
煉獄の心の内を聞いてから数日。
機能回復訓練が始まったAは必死に元の感覚を取り戻していた。
あれから寄り添って部屋を出た二人を見て胡蝶はにこりと笑った。
「お話は終わりましたか？煉獄さん、無体を強いるようなことはしていないでしょうね？」
「無論だ！むしろ、Aと胸の内を話し合う良い機会になった！」
「それは何よりです」
それからは前に増して甘やされることになる。
「A〜、もう少し頑張れや！」
「はいっ…！」
機能回復訓練で道場内を走り回るA。追いかけられているのは雨宮だ。
何故か最近は雨宮がやってきて機能回復訓練の相手をしている。
よくお館様と連絡を取っているようだが……詳細はわからない。ただ、たまに苦しそうに何かを考えていた。
「ほらほら、んな遅くちゃいつまで経っても捕まんねーぞ！」
「っ……！」
いつもはあんな調子(どんな調子だ！)な雨宮だが、実はその修行は厳しい。ただしそれはきちんとした計画とその者の実力に基づくものであり、ただ無闇に厳しくしているわけではないのだ。
「ん、かなり戻ったな。あと数日ってとこだろ」
「はぁっ、はぁっ…あり、がとう…ございましたっ…」
「雨宮殿、引退した身ですのにわざわざすみません」
「おう、蟲柱。暇してたし構わねーよ。それにこいつは俺の弟子だ。師範が面倒みるのが道理だろ」
「ふふ、とてもAさんの事を大事にしているのですね」
「まぁな。俺的にはもっと「きゃー！師範すごーい！」って言われたい」
胡蝶の視線が一気に冷たくなった。
そこに顔を洗ったAが帰ってくる。
「……師範？」
「ん、なんでもねーよ。お前、昼からは中庭で打ち合いな。蟲柱、いいか？」
「えぇ、もう怪我は完治してますから」
変な空気だったなー…と首を傾げながらAは食堂に向かった。
ちなみに煉獄は任務で遠方に赴いている。
といっても情報によれば難しい任務ではない。ただ階級が低い隊士たちに付き添い、実地指導をするのが中心である。
昨夜「離れたくない…！」と苦悶に満ちた表情の煉獄を送り出したのは記憶に新しい。
(その際、数日分だと言って腰が抜けるほど口吸いをされたが)
こうして少しずつ日常に戻ろうとしていたA。
しかし、見えぬところで一つの影動いているのをまだ知らない……。
「…月の呼吸…。治癒の力。何の因果か。…確かめてやろう…ーーと…同じなら……」
「……竈門A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 666人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - 心頭滅却！…笑ってしまった(^.^) (2021年9月30日 14時) (
レス) @page47 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます。お誉めいただき光栄です！更新頑張りますね！ (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 柚葉さん» ですよね！あそこで生きていたら…と思うと…生存夢の執筆に力が入ります笑 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 主人公の魅力が最大限に引き出される物語設定、人物設定が素敵です。続きを楽しみにしております。 (2021年9月27日 11時) (レス) id: 77a139d8e9 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 泣きながらも、読ませていただいてます。やっぱり生きててほしかった！！ (2021年9月25日 23時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫音
| 作成日時：2021年9月5日 13時
