月は、上りて 参【煉獄杏寿郎】

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その瞬間。
ドンッと音がして堕姫が上に弾き飛ばされた。
やったのは善逸だ。


「善逸！」

「あの鬼は俺と黄色い少年、猪頭少年で対処する。君達は宇随と共に。……死ぬなよ、A」

「は、い…！」

「死ぬなよ、伊之助！」

「おうよ！」


煉獄と伊之助は一気に外に走り出た。



「妹はやらせねぇよ」


その鬼…妓夫太郎が物凄い早さで鎌を振る。
辛うじてそれを刀で弾くA。炭治郎が下からの攻撃を受けそうになるが…宇随に弾き飛ばされた。


「っ…！上！」


嫌な感じがして咄嗟に叫ぶ。
その瞬間、上から帯が降ってきた。


「う、ぐっ…！」


手足にいくつもの切り傷がつく。


「ククッ、継子ってのは嘘だなぁ。お前らの動きは全然統制がとれてねぇ。全然駄目だなあ」


妓夫太郎が嘲笑った。









血の刃が際限なく飛んでくる。
その間にも帯が斬りつけてくる。

Aたちは必死に攻撃を受け流した。
衝撃に耐えきれず瓦礫が崩れ落ちてくる。


「音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々」

「月の呼吸 弐ノ型 月影ノ舞」


身を低くして一気に刀を振り上げる。
宇随に向かっていた帯をすべて斬り裂いた。


「く……！」


猛攻に息が上がる。
たまに炎が見えるから屋根で煉獄も必死に帯の攻撃を焼き斬っているのだろう。
出来るだけ宇随への攻撃を減らせ。
Aは炭治郎と目配せし合う。



炭治郎とAが妓夫太郎から離れた時、大量のクナイが飛んできた。
ふと上を見ると一人の女性がこちらに大きな装置を向けている。
おそらく、宇随の妻のくノ一だろう。


ただのクナイでないことは妓夫太郎も感じ取ったらしい。
血鬼術でクナイを防いだ。


クナイを身に受けながらも宇随が肉薄する。
妓夫太郎の両足を切断した。
クナイが首に刺さる。そこにはやはり毒が塗ってあり、再生が上手く出来ないようだった。


その隙に宇随・炭治郎・Aの三人が首を切ろうと迫る。
しかし……


「…(足が、もう再生してるっ…！？)」


毒を分解したのか、血鬼術を使う妓夫太郎。
まずい、と思った瞬間炭治郎とAは宇随に蹴り飛ばされていた。


「音の呼吸 肆ノ型 響斬無間」


体制を立て直したAは、宇随の攻撃を避けて上に飛び上がる妓夫太郎を見た。
その目的は……！


「だ、め！」

「よくもやってくれたなああ…」

「雛鶴ー！！」


宇随が叫ぶ。
Aは足に力を込めた。


「やめろー！！」


ミシッ


雛鶴の顔を掴む妓夫太郎の手に力が込められる。

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