月は、上りて 参【煉獄杏寿郎】

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「随分多いですね。かなり長い期間潜入されているんですか？」

「三人いるからな、嫁」


さらりと言った宇随に、とうとう善逸がぶち切れた。


「さ、三人！？嫁…さ、三！？テメェ！何で嫁三人もいんだよ！ざっけんなよ！」

「何か文句あるか？」


宇随の拳が善逸の腹にはいり、善逸が沈んだ。


「………静かになった」


炭治郎と伊之助は「うわぁ…」という目で見つめている。


「あの、来るときは極力目立たぬようにと何度も念押ししてあるんですが…具体的にはどうするんですか？」

「そりゃまぁ変装よ。不本意だが地味にな。お前らには"あること"をして潜入してもらう」



宇随の妻たちは全員優秀なくの一らしい。
客としては尻尾を掴めなかった宇随は、遊郭の"もっと内側"に入ってもらったとのこと。
そしてすでに怪しい店は絞ってある。


"ときと屋"の「須磨」
"荻本屋"の"「まきを」
"京極屋"の「雛鶴」

この三人を探して情報を得る。



「嫁もう死んでんじゃねえの」


伊之助がポロリと口にした。

炭治郎とAが止める前に、伊之助も宇随によって沈められた。




その時、藤の花の家人が顔を出した。
宇随が入り用の物を頼んでいたらしい。


「よし、三人はそこに並べ」

「…あの、私は」

「お前は後だ。…クク、楽しみにしてろ」

「……ひぇ」


遊郭潜入と聞いて嫌な予感はしていた。
宇随の顔を見るとその予感は的中しそうだ。



「…よし！できたぞ！お前らこれに着替えろ」

「ありがとうございます！A、どうだ！似合うか？」

「……わぁ」


化粧を終えた三人の顔と言ったら…いや、もう何も言うまい………
Aは炭治郎の言葉に無言でそっと視線を反らした。


「さて…次はお前だ。竈門A」

「…ひぇ…あの、私もあんな感じで…？」

「いいや？お前には売れっ子になってもらう。その方が情報を集めやすいからな」


ジリジリと化粧道具片手ににじり寄る宇随。


「観念しろ。ド派手にいくぜ！」


………観念した。


化粧を終えた宇随の顔が満足気に輝く。


「おいおい…俺様の目には狂いは無かったな！こいつは…やべぇ…」

「……？」


鏡を見ていないのでわからないが満足らしい。
すぐ隣の部屋に行かされ、用意されていた着物を着付けられた。


「とてもお美しいですよ、鬼狩り様！」


そんな言葉をかけられる。



「…音柱様、終わりました」

「よし、入ってこい」


スラリと襖を開けると、炭治郎たちが固まっていた。

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