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「父は素晴らしい方だ。ただ、母上を亡くし意気消沈して……」
「…"素晴らしい方"ですか?息子に死んで当然だと、愚か者だと罵る父親が?本当に?"素晴らしかった"の間違いでは?」
「………A」
咎めるように名前を呼ばれるも、Aは止まらない。
「父親だから?傷ついてるから?そんなの免罪符になりません。炎の呼吸を馬鹿にされて生き様を貶されて…それでも理解のある心優しい息子でいるのですか?そんな煉獄さん、嫌いです」
「…………」
"嫌い"という言葉にピクリと煉獄の手が動いた。
「……それにあの人は炭治郎を傷つけた」
「……それは、」
「……ごめんなさい、煉獄さんの家の事情なんて…口を出す権利がないのに……偉そうに言って。…でも、ああやって煉獄さんを苦しめるあのお父様も…それを甘んじて受け続ける煉獄さんも……好きじゃない、です」
それだけ言うとAはするりと煉獄の腕から抜け出した。
これだけ言ったら失望されるか、怒りを露にするか……
「……やっぱり、私には煉獄さんは勿体なかったみたいです。…何も事情を知らないのに、こんな生意気な事を言う女…幻滅した、でしょう」
折角恋仲になれたのに、数日で別れるだなんて辛いなぁ…と思いながら障子に手をかける。
「……A」
開けようとした障子が後ろから伸びてきた手で押さえられる。
上から低い声が降ってきた。
「…煉獄、さん」
「何故出ていこうとしている。許可していないぞ」
そのまま肩を掴まれ、反転させられる。
肩を障子に押し付けられ、鋭い目で射ぬかれた。
「君の言うことは尤もだ。俺は、俺たちは変わってしまった父上に無意識のうちに腫れ物に触るように接していた。父上がああなったのは、恐らく母上の死と……あの"始まりの呼吸"が原因だろう」
「もっと、話をすれば良かったのだな。今は傷ついている、と向き合うのを先延ばしにしていた」
「………」
「君は大人しい少女だと思ったら…こんなにも俺を驚かせる」
煉獄は目を細めてうっとりとAを見つめた。
「…そこは、「煉獄家の事情も知らないのに偉そうなことを言うな」と怒るところでは?」
「事情を知らないからこそ、その言葉で俺に気付かせてくれた」
煉獄は腕をAの背中に回すと包み込むように抱き締める。
「だが「嫌い」はいただけないな。それに「私には勿体ない」など…俺から勝手に離れるつもりだったのか?」
煉獄の纏う雰囲気が変わった。
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ゆり(プロフ) - あの…舐めるとか刺激が強すぎるので※付けてもらえませんか… (2021年8月14日 2時) (レス) id: 3faa843c0c (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - ohyutayaさん» 言いました!しかし本人は言った瞬間気付いておりません(^-^) (2021年8月8日 17時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 私の煉獄さんってサラッとすごいこと言いましたね (2021年8月8日 17時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 晴琉-haru-さん» ありがとうございます(^-^)更新頑張って煉獄さんへの愛をぶつけていきますので、よろしくお願いします! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 空さん» ありがとうございます!夢主ちゃんにはいつでも瞬時に反応する煉獄さんです! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年7月17日 16時