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「…こんにちは、炎柱様」
「久しいな、竈門少女!息災か!」
「…はい」
思っていたより普通に話せる。その距離感は無限列車の任務前と同じぐらいだ。
その事に安堵しながらAは気付かれないように息を漏らす。
「炎柱様、柔軟やりますね!」
「頼む!」
女の子たちが煉獄の体を解し始める。
Aがその場を離れると、薬湯が乗った机の前に胡蝶が座っていた。
「貴女相手ではアオイは厳しいでしょうから…私がお相手しますね」
「…お願いします」
Aは気を引き締めると机の前に座った。(後ろから「ぬぅ…体が、随分鈍ってしまった!」という声と呻き声が聞こえたが無視した)
結果としてAは一度も勝てなかった。
流石は柱。
胡蝶は微笑みながらもAの手を全て押さえ込み、反対に湯飲みを持ち上げた。
……ちなみに頭からぶっかけられはしなかった。配慮してくれたらしい。
鬼ごっこも、その名の通り寸での所で蝶の如くヒラリヒラリと躱されてしまう。
「午前はここまでにしましょうか」
「あ、りがとう…ございます…」
息を切らしながら答えたAは頭を下げると道場を出ていった。
昼食後に再び訓練にいくと炭治郎たちがいてホッとする。
夕方まで訓練を続け部屋に戻ろうとすると声をかけられた。
「竈門少女、少し話を…」
ギクリと体が硬直した。
ついに、声をかけられてしまった……。
「あ…あの、少し疲れたので…今日はすみませんっ…」
目が合う前に深々と頭を下げ、ササッと部屋に戻る。流石に追いかけては来なかった。
「(失礼な態度…すみません炎柱様…)」
練習終わりに声をかけられ、それを断り続けて逃げること三日。
「…ねぇ、炭治郎。煉獄さんの音、何かやばくない?」
「あ、あぁ…匂いが何か…」
炭治郎と善逸がヒソヒソと話し合う。
焦りと苛立ち、嫉妬に独占欲…まぁそんなのを煮詰めた感じだ。
そしてその原因は、勿論…
「……何か、寒気が…」
「あらあら、うふふ」
胡蝶と反射訓練中の竈門家長女である。
「(煉獄さんにしてはよくもった方ですが……仕方ありませんねぇ…)Aさん」
「はい?」
「今日の訓練が終わったら、蝶屋敷の一番奥の部屋の換気をお願いできますか?窓を開けるだけで構いません。アオイ達もこの通り訓練で手一杯で…」
胡蝶がさりげなく"大きめの声"で頼み、Aに気付かれないように煉獄の方を一瞬見た。
煉獄はその意味が分かったのか小さく目を見開いた。
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ゆり(プロフ) - あの…舐めるとか刺激が強すぎるので※付けてもらえませんか… (2021年8月14日 2時) (レス) id: 3faa843c0c (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - ohyutayaさん» 言いました!しかし本人は言った瞬間気付いておりません(^-^) (2021年8月8日 17時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 私の煉獄さんってサラッとすごいこと言いましたね (2021年8月8日 17時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 晴琉-haru-さん» ありがとうございます(^-^)更新頑張って煉獄さんへの愛をぶつけていきますので、よろしくお願いします! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 空さん» ありがとうございます!夢主ちゃんにはいつでも瞬時に反応する煉獄さんです! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年7月17日 16時