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「A、少し散歩しないか?」


煉獄の言葉にAは頷いた。
優しく微笑んだ煉獄は手を差し出す。


「さぁ手を。雪で足元が悪いからな」

「…はい。有難うございます」


そっと手を重ねれば温かい手が優しく握り返してくれた。

二人はぴったりと寄り添い、川沿いを歩く。
この山は雪が深い。都会育ちの煉獄には物珍しいことばかりだといって、キラキラした目で辺りを見回していた。



「…寒くないですか?」

「問題ない!君こそ、冷えていないか?」

「はい。生まれた時からここにいますから、慣れてますし」

「それもそうだな!……なぁ、A。好きだ。君を一等愛してる」

「…杏寿郎さん…?」


足を止めた煉獄は真面目な顔をしてAを見た。
その目には熱が宿っている。


「君の家族に紹介してもらえて嬉しかった。……俺は、君と家族になりたい。伴侶として隣にいたい」

「っ、あ…!」


掴まれていた手を持ち上げられ、甲に口付けられる。


「………A……」


返事をしなくては。
Aが口を開いた、その時。


ボゥッ!


「っ!?」


Aの体が炎に包まれた



不思議とそれは熱くない。
…むしろ、懐かしい……。



そうだ。



「…禰豆子の、血鬼術」


炎が収まると、自分が隊服と羽織を纏い、腰に刀を差しているのに気がついた。

煉獄は何も言わず、驚きもせずこちらをジッと見つめている。


「…あ、の」


ビュッゥと風が二人の間を通りすぎる。
するとその一瞬で煉獄の服も変わっていた。

隊服に、見慣れた炎の羽織。


ギュッ


煉獄がAを抱き締めた。


「…時間だ。起きなさい、"竈門少女"。こちらに戻っておいで」

「え…!」

「戦いはもう始まっている。さぁ、起きるんだ」


その言葉に何もかも思い出した。


母は、禰豆子を除く弟妹たちは…もういない。
二度と、会えない。
禰豆子は今、日の下を歩けない。
そしてここには双子の片割れが…炭治郎がいない。


煉獄はそっと体を離して真っ直ぐAを見た。


「もう大丈夫だな。いいか、竈門少女。切るべきものは…自分自身だ」

「…自分、自身…」


呟いたとき、後ろから声がした。


「姉ちゃん!もうすぐ風呂ができるって!」

「え?お姉ちゃんどうしたの、その格好!何で刀なんか持ってるの?」


すると母親もやってきた。


「どうしたの?…A、貴女その格好…」

「お、母さん…」

「ただいま!って、お姉ちゃんどうしたの!?」

「…ね、禰豆子…」

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ゆり(プロフ) - あの…舐めるとか刺激が強すぎるので※付けてもらえませんか… (2021年8月14日 2時) (レス) id: 3faa843c0c (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - ohyutayaさん» 言いました!しかし本人は言った瞬間気付いておりません(^-^) (2021年8月8日 17時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 私の煉獄さんってサラッとすごいこと言いましたね (2021年8月8日 17時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 晴琉-haru-さん» ありがとうございます(^-^)更新頑張って煉獄さんへの愛をぶつけていきますので、よろしくお願いします! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 空さん» ありがとうございます!夢主ちゃんにはいつでも瞬時に反応する煉獄さんです! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年7月17日 16時

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