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「答えなさい」

「ぅぁ…!」


煉獄はAの首筋に顔を埋めると軽く歯を立てる。
小さく呻き声を上げたAは叫ぶように言った。


「…あの方は、恩人ですっ…恋愛感情は、ありませんっ…!」


すると煉獄は顔を離してAの脇を塞いでいた腕を下ろした。
纏う雰囲気もいつも通りになる。


「すまないな。君の事になるとどうも平常心ではいられなくなるしい」

「…義勇さんは強いて言うなら…お兄さんのような、そんな存在です…。ここまで導いてくれたのは、あの人ですから…」

「それはわかっているが。……竈門少女、あまり俺を嫉妬させないでくれ」


煉獄は両手でAの顔を包み、そっと上を向かせた。


「竈門少女。俺の次の任務が終わったら、この前の答えを聞かせてくれ」

「…え、…」

「俺はもう少し気が長い方かと思ったが…どうやらそうではないらしい。このままだと君を屋敷に閉じ込めてしまいそうだ」

「と、閉じ込めて…」

「そうなるまえに、白黒はっきりしたい!…約束してくれるか。次の任務の後に答えをくれ」



Aが煉獄の告白を保留にしているのは事実だ。
確かに受けるにしろ断るにしろ先伸ばしにするのは失礼というもの。
そう思ったAは静かに頷いた。


「…はい。約束します」


その言葉に煉獄の表情が和らいだ。


「では、約束の証だ」


煉獄はAの隊服を軽く引っ張ると、露になった首筋を思い切り吸い上げた。


「いっ…!?」


突然の行動に声をあげるA。
満足そうに顔を離した煉獄は服を軽く整えてやる。


「…忘れるなよ。君の返事、期待している」


にこりと笑い去ろうとする煉獄に、呆然としていたAは慌てて声をかけた。


「…あ、待って、ください…!」

「ん?」


不思議そうに振り向く煉獄に慌てて駆け寄る。
そして懐から大きめの巾着を取り出した。



「何だ?」

「…この前の、髪紐のお礼、です。その…おきに召せば…」


煉獄が巾着を開くと、そこには綺麗に編まれた組紐と一口サイズの菓子が入っていた。


「これは……」

「…すいーとぽてと、という西洋の菓子です。その…初めて作ったので…」

「君の手作りか!…組紐も自分で編んだのか?」

「…はい」


煉獄はシュルリと髪を解くとAに背を向けた。


「…あの、」

「つけてくれ。君の手で」


煉獄は膝をつく。
放置もできなくて、Aは恐る恐る煉獄の髪に触れると手早く纏め、紐で括った。


「(思ったより…柔らかい…)」

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ゆり(プロフ) - あの…舐めるとか刺激が強すぎるので※付けてもらえませんか… (2021年8月14日 2時) (レス) id: 3faa843c0c (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - ohyutayaさん» 言いました!しかし本人は言った瞬間気付いておりません(^-^) (2021年8月8日 17時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 私の煉獄さんってサラッとすごいこと言いましたね (2021年8月8日 17時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 晴琉-haru-さん» ありがとうございます(^-^)更新頑張って煉獄さんへの愛をぶつけていきますので、よろしくお願いします! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 空さん» ありがとうございます!夢主ちゃんにはいつでも瞬時に反応する煉獄さんです! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫音 | 作成日時:2021年7月17日 16時

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