ONLY ONE. (ページ37)

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episode 37 side:GD ページ37

日本公演の前日。

俺たちは前乗りで日本に向かい、ホテルにチェックインする。

いくら泊まり慣れたはずのこのホテルでも、
寝つきが悪い俺は自分の家じゃないと落ち着かない。

自分のベッドじゃないと眠れないなんて、俺は子供かよ…

そんなことを思いながら、酒でも飲んでさっさと寝てしまおうと
1人でホテルのバーラウンジに向かった。

ラウンジに入ると、
端っこの席にポツンと1人座るAがいた。

こいつもここに泊まってるのか…。
テソンと待ち合わせかな。

そうだったら部屋に戻ろう。

そう思ったが、Aはテーブルの上にPCを広げ、
俺たちの資料を広げていた。

どうやら仕事しているみたいだ。
俺はAの席へと向かった。

「よぉ。」

「あ…ジヨンさん。ご無沙汰しています！」

ふんわりと笑ってくれるAの目。
ジヨンさん、と呼ぶAの声。

俺の胸がギュっと締め付けられる。

「元気だったか？」

「おかげ様で。」

「仕事？邪魔しちゃ悪いかな？」

「いえ！ちょうど終わったところなので、大丈夫です！」

Aはそそくさとテーブルの荷物を片付ける。

「じゃあ…ちょっと付き合ってくれない？俺、何だか眠れなくて。一緒に飲もうよ」

「え…、あ…はい！！！」

驚いたように目を真ん丸にしたAは可愛くて愛おしくて
抱きしめてしまいたい。

そんな思いが一瞬俺の頭をよぎったが、
俺は心に決めたんだ。

もうAを困らせたりしないって。
“友達”として、こいつの前で笑うんだって。