光を求める少女の話 【文スト】【太宰治】【３】

第百九話＿協定 ページ29

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太宰「ようこそ、首領」



ある場所で此れから行われる非公式の会談
太宰の前に現れたのはポート・マフィアの首領、森鷗外



森「四年振りだねぇ。私が購ってあげた外套(コート)はまだ使っているかい？」



太宰「もちろん、焼きました」



そして次に武装探偵社の社長、福沢諭吉が現れる



福沢「ポート・マフィア首領、森鷗外殿」



森「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」



どちらの組織にも緊張感が走る
そんな重い空気の中、福沢は云う
探偵社の新人がポート・マフィアと同盟を具申したことを



勿論、福沢は反対した
非合法組織との共同戦線は社の指針に反する
だが、同盟を提案したのはマフィアに何度も撃たれ、斬られ、拐かされた敦からだ



そんな彼が云うからこそ言葉の重みが違うのだ



福沢「結論を云う。同盟はならずとも"一時的な停戦"を申し入れたい」



森「……興味深い提案だ」



だが、この協定には一つ問題がある
協定違反をしても罰するものが居ないのだ
マフィアがこの協定を破るかも知れない
探偵社が裏切るかもしれない
あり得ない話ではないし、仮にそうなった場合この協定を信じた方が損をするのは確実だ



先に裏切った方に利益が得る状況下では限定的停戦は成立しないのだ



これを解決するには完全なる協調だが、それもあり得ない
何故ならマフィアは面子と恩讐の組織であり、それを探偵社に何度も潰されているから



福沢「……ふむ、ではこうするのは如何だ？」



福沢の纏う空気が変わった



福沢「今此処で凡ての過去を清算する」



殺気を感知した立原と銀が走り出すが
福沢の刀が立原の銃と銀の小刀を破壊した



森「……刀は棄てた筈では？孤剣士『銀狼』＿＿福沢殿」



福沢「手術刃(メス)で人を殺す不敬は相変わらずだな＿＿森医師」



福沢の喉元に添えられた森の手術刃(メス)
森の首元に向けられた福沢の刀



福沢「相変わらずの幼女趣味か？」



森「相変わらず猫と喋っているので？」



その瞬間、福沢の体がまるで雪のように消えていく



森「…立体映像の異能か」



木陰から覗く谷崎に森は気付く

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