第六十一話_"傘" ページ23
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その日以降Aは色んな人の名前を積極的に云うようになった
尾崎「A、今日はお茶ではなく少し散歩をしてみないか?」
A「………」コクン
尾崎「では、この中から一つ好きな物を選ぶといい」
尾崎は部下たちに持ってこさせた黒、赤、白の傘をAの前に揃える
A「………………」
尾崎「………」
A「…………………これ」
尾崎「!!」
Aはゆっくりと"白"の傘を指差した
初めてAが自分で選んだことに尾崎は驚愕したが直ぐに嬉しそうに微笑んだ
尾崎「そうか、なら此れはA、お主にやろう」
A「………?」
尾崎「何、私からの些細な贈品じゃ」
A「…………ありがとう、"姐さん"」
尾崎「!!……フフッ、Aから"姐さん"と呼ばれるのは善いものじゃの」
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そして漸くAの身体は完璧に治り、健康体になった
大宰と共に任務に就くことが少しずつ多くなり
Aは姉の時と同様、大宰の命令には忠実に従っている
だが、難点が一つ出てきた
其れは命令以外の事態が起きたときに対処が出来ないことだった
姉が常に一緒に居て命令を下していたのが欠点になってしまい
其の事態が起こるとAは自分を守る訳でも、異能を使う訳でもなく
ただ静かに太宰の命令を待つだけだった……
太宰が気に掛けていたためいつも最悪の事態にならないではいるが
一歩間違えればAは死んでいた可能性もあった
日常生活では自分の意思で動くようになってきたAだったが
任務となるとやはり姉の時を思い出すのか前のAに戻ってしまう
其処で太宰は芥川とAを組ませることにした
自分と一緒だと姉の時と同様になってしまうので意味がない
"自分と同じ立場"である芥川と組ませることで彼の命令は絶対では無い為、Aが忠実に従う必要はない
そして芥川は此れまでAが接してきた者達とは違う
__Aが自分の意思で
早々に太宰は芥川とAを会わせたが……
Aは兎も角、芥川の方がAを厭ってしまい組ませた意味がない程、酷いことになっている
行動を共にするように云っても芥川は独断専行をしてしまうためAは其の後を付いて行くだけになってしまっている
この事態を太宰が予測をしていない筈もなく、芥川の態度もAがそうなることも全て解っていた
だからといって太宰は口出しすることはなかった
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みゆき(プロフ) - ショタ作さん» ありがとうございます!黒の時代の中で絶対に書きたかったお話の一つなので皆様の印象に強く残ってくれて嬉しいです😆😆 (1月8日 8時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
ショタ作 - このお話めっちゃ大好きです!特にのどかさんと同じで私達が君の名前を呼ぶよって所が印象的でした。これからも頑張ってください。 (1月8日 1時) (レス) id: 916af5240f (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 明日羽さん» 本当にすみません。またやらかしていましたか😭😭😭すぐに直させていただきます!! (2022年9月18日 22時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
明日羽 - 「第八十四話_彼が友達だから」に主人公の名前がくるであろう場所につぼみという名前(?)があるんですが誤字じゃないですか?間違っていたらすみません<(_ _)> (2022年9月18日 21時) (レス) @page47 id: 60a89d6d9f (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - のどかさん» そう!そうなんです!実はこの黒の時代を読み終わった後にアニメのエンディングを聞いてもらうと4年後の里見ちゃんの心境が語られているようにしたかったんです!!二重の意味で泣かせにいく構想になっているんです!! (2022年8月7日 16時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆき | 作成日時:2021年1月30日 23時