花柱は１人の少年に振り回されている【鬼滅の刃】【弐】

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炭治郎「確かにあの時、掴んでいれば確実に勝てていたけど……でも、それをした瞬間時透くんを裏切ると思ったんだ」



時透「！！？」



A「…………」



時透が炭治郎に協力したのは「気分が変わった」からでも

「しのぶたちが炭治郎にかけてる期待を見てみたくなった」わけでもなく

＿＿己と炭治郎を"比較"するために協力したのだ



時透「………気づいてたの？」



炭治郎「何となくだけど」



そう笑いながら炭治郎は言った



時透は昔羽織を触らないという条件を破り、負けたのだ
その時はAのミスではなく意図的にやったものだが


人間は欲に忠実だ
駄目だと分かっていても手を伸ばしてしまう


だが、それは仕方のないことなのだ
時透よりAの方が一枚上手だった、それだけの話
と他の者ならそう思うだろうが、時透は違った



たとえ意図的だったとしても条件を自分から破ったということは


Aの"羽織を触られたくない"という気持ちを軽視してしまったという事実が残るだけだ


時透はそんな自分が許せなかった
大切な人が嫌がっていることを、自分の欲のためなら軽視してしまう自分が……



だから時透は素直にAの継子になることを諦めた
そして炭治郎がもし自分と同じようなことをしたら
その場で継子の話はなかったことにするつもりだった
たとえ条件が違っても、Aさんが触っていいと許可しても自分は許さない



でも炭治郎は掴まなかった
そこで時透はやっとしのぶとカナエが炭治郎に期待をしている意味が分かった
そしてAの隣は自分なんかよりも彼の方が相応しいことにも



時透「君は"僕には敵わない"って言ってたけど、それはこっちの台詞だね」



炭治郎「え………？」



時透「でもだからと言ってAさんを悲しませたり、泣かせたりしたら容赦しないから」

炭治郎「はい！！」

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