歳上。 (ページ10)

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再会ページ10

Sekita side

オリンピックまで半年を切ったある日。

色々なスポーツの全日本の選手が集められて

ドーピングについての講義を受けることになった。

日本開催であること、前回のリオの時にロシアの

組織的なドーピングが問題になったからだ。

「座学苦手なんだよなぁ、、」

前でしんどそうに机に突っ伏してる西田と

俺も無理！と相変わらずうるさい健太郎。

「健太郎さん、馬鹿じゃん。」

と、バカにするイタリア帰りの祐希。

時間になり、講師の先生が入場して講義が始まって

気がついた。

髪は伸びたし大人っぽくなってるし白衣も着てる。

けど、確かに分かった。

WCで泣かせてしまったあの女の子だ。

あの時、オドオドしてたのが嘘のように前で

堂々と話していることに驚いたし、

なにより、こんな形で再会すると思わなかった。

「関田、聞いてんの？」

隣に座ってたマサがコソッと聞いてくる。

「あの子。WCの子。泣かせた子。」

「はぁ？」

「イタリア戦の時、吹っ切れられた理由の子。」

思わず女の子をガン見してると、視線を感じたのか

目線がこちらに向き、目が合った。

講義が終わり、各々ホールをあとにしたが動けないでいた。

「関さん！トスあげてください！」

「ごめん、西田。俺あとから行くから。藤井さんにあげてもらって。」

そう伝えて、ホールを出ていってしまったあの子を

追いかけた。

「ねぇ！」

後ろ姿を見つけて、思わず大きな声で呼び止めると

びっくりしたように、振り向いた。