歳上。 (ページ8)

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出張授業ページ8

You side

龍神NIPPONにハマってから1年。

世界中がパニックに陥っていた。

パンデミック、クラスター、医療崩壊。

毎日、暗いニュースがアナウンサーから伝えられる。

薬剤師として働き始めた私はバレーなんて見てる暇が

ないほどの忙しさに見舞われていた。

オリンピックが一年延期になったのもあり、ますます

バレーからは離れていた。

オリンピックまで半年になった今日。

管理薬剤師である成田さんに告げられたのは

味の素ナショナルトレーニングセンター

通称NTCでのドーピングについての授業。

「大勢の前で話すなんて無理です！」

「でも、ほら！Aちゃん、大学の研究はドーピングについてでしょ？専門じゃない！」

「そうかもですけどぉ〜自信ないです！」

「大丈夫！心配だったら、講義の練習付き合うから」

来週の土曜だから、よろしくねぇ〜

手を振りながら、在庫確認に消える成田さん。

「もう。。他人事だと思って、、、」

成田さんは、優しいけど厳しい人。

人に説明するのが苦手という薬剤師としては

致命的な欠点を克服させたいんだと思う。

その夜、りさに出張授業のことを話すと

「え！NTCなの？！ずるい！変わって！」

「ごめんけど、NTCってそもそも何？」

「オリンピック選手とかが練習で使うところ！ドーピングの研修なんでしょ？絶対、色んなスポーツの全日本の人と会えるじゃん！ってことは、柳田さんに会えるじゃん！ずるい！」

柳田さんにあったら絶対報告して！

という謎の約束をしてりさとの電話を切った。

それから一週間は、死ぬほど忙しかった。

パワポ作る→成田さんで練習→ダメだし→作り直し

を、ひたすら繰り返した。

けれど、成田さんのスパルタのお陰で人前で話す事に

抵抗を感じることは無くなってきた。

そして、とうとう出張授業当日がやってきた。