桜桃２ -Ryuya.S- ページ3
七五三掛くんはＡ大の２年生で、私のひとつ上なんだって。
「AちゃんはＢ大なんだ？
学校、楽しい？」
私が緊張して何も話せないからか、七五三掛くんはいっぱい話しかけてくれるけど、私は上手に答えられないまま。
「もしかしてAちゃんって、合コン初めて？」
そう聞かれて頷いた私に七五三掛くんは、こそっと小声で耳打ちしてくれた。
「もしかして帰りたい感じ？」
高速で頷いたら、くすくす笑われてしまった。
「じゃあ、抜け出しちゃう？」
また耳元で、まるでドラマのような台詞を囁かれて、腰が砕けちゃうんじゃないかと思った。
「トイレ行くふりして、抜け出しちゃおう。」
そう言い残して、本当に七五三掛くんは個室から出て行ってしまった。
周りが盛り上がってる隙を見計らって、私も続いて店を出た。
店の前で壁にもたれてスマホをいじってる姿は、そこだけ雪が降っているかのように清くて、
「Aちゃん。」
なんて、私を見つけて手を振ってくれる姿は、まさに天使そのものだった。
羽根でも生えてるんじゃないかって、背中を覗いてみたくなるくらい。
近くのカフェで、ようやくゆっくり彼と話すことができた。
「俺も今日は人数合わせで呼ばれただけなんだよね。
合コンとか、あんまり慣れてなくて。」
だと思った。
七五三掛くんに合コンなんて似合わないよ。
七五三掛くんは私の思った通りの人だった、私の嫌いなガサツな男っぽさなんて微塵もないし。
雰囲気が柔らかくて、話し方も優しくて。
カフェを出て駅まで歩く道の途中、
「ちょっと寄り道していく？」
そう言って、七五三掛くんは私の手を引いた。
驚いた。
意外に腕の力とか強いんだ。
ぐいっと私の手を握ると、一本奥の道へ進んでいく。
薄暗い道を越えると、急に煌びやかなネオンが目に入った。
ここ、どこだろ…。
しばらく眺めているうちに、『ＨＯＴＥＬ』というネオンが目に飛び込んできて、驚いて足を止めた。
七五三掛くんはそんな私に気付いて、優しい微笑みで顔を覗き込んでくる。
「俺が草食系男子だと思った？
Aちゃんと最初に会った時から、どうやってホテルに連れ込もうか考えてたのに。」
ＥＮＤ
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わかめん(プロフ) - ちあきさん» コメントありがとうございました。チョコミントも読んでいただいて感謝感激です。天才とか！！！畏れ多いですが、そんな風に言っていただけてうれしいです(/ω＼) (2018年4月1日 21時) (
レス) id: b9a73f2b64 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - チョコミント〜の作品を読ませていただいていて、こちらに飛んできました。ほっくんの短編を読ませていただきました。天才ですね（語彙力） (2018年3月19日 0時) (レス) id: a4f7d39adb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめん x他1人 | 作成日時：2018年3月14日 18時
