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戦略的撤退。 ページ36

必死の逃走から、十数分後。

家に帰ろうと思っていたけれど、冷蔵庫の中が空っぽな事を思い出して、スーパーに買い物に来てる。

ぼんやりとした頭で適当に野菜やら魚やら肉やらを買って、走った後遺症とばかりに重い足を引きずって帰った。

今日は何か作る気は起きない。

坦々麺かな…。


『…あ。』


ラー油買うの忘れてた。

しょうがない、近くのコンビニまでひとっ走り行ってきますか。


コンビニに向かう道中。

そこには小さな公園がある。

いつもは子供達の賑やかな声でいっぱいの筈が、今日はやけに静かだ。

不思議に思って覗くと、そこには今1番会いたくない人達が居た。


『ンダホ…ダーマ…。』

ンダホ「A!」


私を見て嬉しそうに駆け寄ってくるンダホ。

しかしその目にはハイライトが無く、普段の明るい彼とは程遠い。

思わず1歩退いた私の肩をンダホが掴んだ。


ンダホ「なんでにげるの…?」


強い力に、今まで彼がどれほど私達に遠慮して接していたのかが分かった。

1歩も動けない私に、ダーマがようやく口を開く。


ダーマ「A…俺達は、Aが傷付くのが嫌なんだ。それと同時に、Aが俺達を必要としなくなるのが、怖いんだ。」

『必要としなくなる…なんて、』

ダーマ「ない、って言いたいんだろ?でもな、Aが気付いたからにはそうはいかないって思ってる。そうだろ?」


全て見透かしたようなダーマの声色。

淡々と、冷静なそれに、未だかつて無いざわめきを感じる。

ダーマが、少し目を閉じて…開ければ。

もうその目はンダホと同じようにどす黒く濁っていた。


ダーマ「拒むな。逃げるな。黙って俺達に愛されてろよ…A。安心しろよ、傷付けさせやしない。誰にも…。」


さっきまでの声色とは逆に、感情的な澱んだ声。

逃げろ。

頭の指令に、身体は反して全く動いてくれない。


シルク「A…!見つけたァ!!」

『ひっ…!』


いつの間にか皆が集まっていて、全員が黒く深く歪んだ目を向けていた。

ジリジリと近寄られ、それに比例してンダホの力も弱まった。

今しかないんじゃないか。


『せ…』

ザカオ「A?」

『戦略的撤退ぃい!!』


思い切りンダホの手を払って、家とは反対方向に逃げた。

家は、なんとなく駄目な気がした。

走るのは苦手だ…というより寧ろ嫌いだ。

それでも、今、あの人達に捕まるよりはマシだと思ったから。

行く宛もなくとにかく走った。

決意→←壁に耳あり障子に目あり。



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レイ(プロフ) - こーゆーのまじで好きです…。やばい。みんなのヤンデレほんとに好き…最高でした…!!!もしも続きがあれば楽しみにしてます!別作も頑張ってください!応援してます! (2020年4月11日 18時) (レス) id: 9045735352 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - どんどん怖くなってゆく、、、、、まぁ好きな人に殺されるなら本望かな? (2018年10月27日 17時) (レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
Kako(プロフ) - 狂気の歯車は止まらないってわけですね…。 (2018年10月25日 18時) (レス) id: d79f67c83a (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - りょうさん» 最後までご閲覧頂きありがとうございました!ラストとの落差すごいなって自分でも思ってたんですけど、楽しんで頂き何よりです! (2018年10月13日 17時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
りょう(プロフ) - 完結おめでとうございますー!もう、ヤンデレ具合が最高でした!ラストはちょっとドキドキして...とにかく面白かったです!これからも頑張ってください! (2018年10月13日 11時) (レス) id: 60a3c2e8e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊達。 | 作成日時:2018年9月16日 14時

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