92:涙を拭ってくれる人 ページ42
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テヒョンがポケットから取り出した物は見覚えのある箱だった。瞬きさえ忘れて目を見張る私の口から、「なんで、」とこぼれる。
だってそれはテヒョンが地面に落として、それをジョングクが拾って持ったままだった。なのに、
……なのに、テヒョンの元にあるのは。
「…なんで、どこで会ったの…？」
TH「Aが元気なくなる前の日、会社まで来たんだよ。…知らない？」
「……知らない。」
TH「ジョングクの様子とか変だったんじゃない？」
ジョングクが居なくなる前日。やけに熱を持ったあの声で、「愛してる」と言われたのを覚えてる。あのキスも、体温も全部覚えてる。
忘れられない記憶に喉の奥が震えた。
テヒョンの言葉の先を待つ私は、どんな顔をしてるんだろうか
TH「…A」
「何、言ったの。」
どこまでも温度のない私の声がテヒョンの心を刺していく。
ねぇ、何を言ったの。ジョングクが私の側から離れるようなこと言ったの？
ジョングクが居なくて私がどれだけ苦しいか、それ以上にきっと苦しんで私の側を離れたジョングクの気持ちがテヒョンの所為でーーー…
「…っジョングクに何言ったの！」
TH「A」
「ジョングクは傷つけないでって言ったでしょ…っ」
TH「……Aがあいつに全部話してなかったから！」
テヒョンのはっ、とした顔が
やけに私の目に焼き付いた。
それでも悔しそうに眉を寄せてテヒョンは続けた。
TH「…A、俺のこと何も言わなかったでしょ」
「……何を、」
TH「俺が…Aしか居ないことも全部、愛してるって言ったこともジョングクに隠してたでしょ」
「…テヒョン」
TH「ヌナを誑かすな、って。お前には他に女がいるんだからって睨まれたんだけど、俺」
私の冷えた指先が震えた。どくどくと血の巡りが早くなるのに身体の奥は冷たくて。
…そうだ、ジョングクを不安にさせたくなくて私は何も言わなかった。
きっとそれがダメだった。
TH「俺も色々必死だったから傷つけるようなこと言ったし、もしかしたら俺とAが両思いとか思わせたかもしれない」
「…テヒョン」
TH「…自分が邪魔者だって、思ったかもしれない」
人が行き交う朝のソウルの街。
涙で歪んだ世界から助け出してくれるジョングクは、今日もいない。
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choco - 今まで見た作品の中で1番好きな作品になりました。ありがとうございます！ (2022年5月23日 19時) (
レス) @page49 id: 7083a913c1 (このIDを非表示/違反報告)
mimi39901065(プロフ) - 初めまして。夢小説にハマるきっかけをくれた作品で、本当に何度読んでも胸が一杯です。素晴らしい作品ありがとうございます。 (2022年2月13日 20時) (レス) id: 96f9571aaf (このIDを非表示/違反報告)
noooooon24(プロフ) - 好きすぎて3回も見ました！本当に感動作です。この2人の続編が見たいです、できたらすっごくイチャイチャラブラブの2人の幸せを見たいです！勝手なお願いですがぜひお願いします。ここまで大好きな作品なかなか出会えないので、、 (2022年2月2日 22時) (レス) id: 8c9cc794ae (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア(プロフ) - 初めまして。お話を読んで涙が止まりませんでした。素敵なお話ありがとうございます。 (2021年9月4日 9時) (レス) id: 73d93b58ca (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - お話が素晴らしすぎました！ストーリー引き込まれ、大号泣しながら一気読みしてしまいました。とてもいい作品をありがとうございました。 (2021年6月20日 3時) (レス) id: 8c7ead2968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ただのルート
| 作成日時：2019年10月31日 14時
