88:壊れそうなのは誰 ページ38
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難しいことは何もない、そう思った。
少しだけ滲んだ視界から逃げ出すように目を閉じれば、浮かぶのは生意気そうなあの笑顔。恋しくてたまらない、ヌナって呼ぶ声だ。
「…テヒョンの所には戻らない」
TH「…なんで、」
「テヒョンを選べないから」
私を引き寄せてたその手に力が抜けて、その隙に私も手を解いて距離を開ける。涙を浮かべたままのテヒョンが見れなかった。
…私はもう泣けない。テヒョンの為に涙を流せない。私の感情を支配するのはテヒョンじゃない。
TH「…もう傷つけないし、Aだけがずっと好きなんだよ。それでもダメ？」
「そうじゃなくて…」
TH「じゃあ、何？」
テヒョンの顔を見ないようにしてたのに見てしまって後悔したのは
TH「俺をどうしても選べない理由は何？…教えてよ」
私だけを見つめていたその瞳から
涙の玉が壊れた瞬間を見てしまったからだ。
綺麗なその涙がテヒョンの顔を濡らしていく
その光景に息なんて出来なかった。
TH「…A。目、逸さないで」
「……っ」
TH「ちゃんと答えて。聞いてるから」
動揺なんて隠せない。テヒョンの顔が前の私みたいに見えたから。今にも壊れそうなその顔を、私は知っている。
「…テヒョンが、ダメとかじゃない」
TH「ジョングクに何か言われてるの？」
「…………言われてない、」
TH「…A」
「ジョングクはもう、私の側に居ない」
目の奥が熱くなった。待ち続けているけどわかってる、ジョングクが帰ってこないこと。
あのメモは。持ち込んだ物が無くなった私の部屋は。ジョングクにとって別れを意味してる。
…テヒョンなら気づいてるでしょう？私が何で上の空だったか。数日間心の中に誰が居たか。
「ジョングクは私の所に帰ってこないと思う。…それでもテヒョンの手を取れないのは私がジョングクを想ってるから。」
TH「…離れて行ったのに？」
「離れて行っても、愛してる。」
テヒョンを選べない理由は単純。それでいて厄介。
「側に居られなくてもジョングクの事を愛してるから、テヒョンを選べない。」
TH「戻って来ないって、…わかってんじゃん、」
「テヒョン」
私の声にテヒョンは
TH「……俺、あいつになりたい」
乾いた笑い声が私の鼓膜を揺らした。
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choco - 今まで見た作品の中で1番好きな作品になりました。ありがとうございます！ (2022年5月23日 19時) (
レス) @page49 id: 7083a913c1 (このIDを非表示/違反報告)
mimi39901065(プロフ) - 初めまして。夢小説にハマるきっかけをくれた作品で、本当に何度読んでも胸が一杯です。素晴らしい作品ありがとうございます。 (2022年2月13日 20時) (レス) id: 96f9571aaf (このIDを非表示/違反報告)
noooooon24(プロフ) - 好きすぎて3回も見ました！本当に感動作です。この2人の続編が見たいです、できたらすっごくイチャイチャラブラブの2人の幸せを見たいです！勝手なお願いですがぜひお願いします。ここまで大好きな作品なかなか出会えないので、、 (2022年2月2日 22時) (レス) id: 8c9cc794ae (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア(プロフ) - 初めまして。お話を読んで涙が止まりませんでした。素敵なお話ありがとうございます。 (2021年9月4日 9時) (レス) id: 73d93b58ca (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - お話が素晴らしすぎました！ストーリー引き込まれ、大号泣しながら一気読みしてしまいました。とてもいい作品をありがとうございました。 (2021年6月20日 3時) (レス) id: 8c7ead2968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ただのルート
| 作成日時：2019年10月31日 14時
