俺を壊せるのは、ヌナだけ

28:IN 喫煙所 ページ28

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side YG


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煙が充満したガラス張りの個室で、俺はそのガラスに背を預けてもたれ掛かる。









YG「お前、何がしてぇんだよ」


TH「………」


YG「まさか自分でも分からねえとか言うなよ」













感情で動いて許されんのは精々学生までだ。



テヒョンは俯いたまま胸ポケットからタールの重い煙草の箱を取り出す。俺はそれを許さず取り上げる












YG「逃げんな。」



TH「……、ユンギヒョンが、」



YG「あ？俺がなんだよ」



TH「ユンギヒョンが触ろうとするから。」



YG「それを止める権利はお前にないんだよ」



TH「あるよ」













俺からパシッと煙草を奪い返すテヒョン。



その目は強気の色に見せかけて、奥に怯えを隠してる











TH「あるよ、権利。だってAは俺のだし」


YG「……お前さ、馬鹿かよ」


TH「……ヒョンにはわからない」


YG「ふざけんな。」












俺が睨み上げるとテヒョンも食い下がって対抗するように俺を睨む。



けどな、怖くねぇよ。ガキみたいにワガママ貫こうとする奴の睨みなんか。



俺の声が地を這うように低くなる













YG「…誰がお前のだって決めた」











お前のじゃねえ。まだ、お前のじゃない。



側に置いてるだけで、取られても逃げられてもおかしくない



だから俺は言った。あるのが当たり前だと思うなって、言ったんだよ















YG「…お前の中で浮気相手は、どっちだよ。」



TH「…………、A以外の女、全員。」



YG「…何してんだよ、お前…、」














何でそれ以外の女には首輪をかけて繋いでるのに、あいつだけは野放しにしてんだ。













TH「……でも、Aは俺のだよ」


YG「テヒョン…。」


TH「もうすぐ、だから。」


YG「……」


TH「大丈夫、Aは、俺の所に戻ってくる」













力なく呟くテヒョンは、苦しさを今日も即席の苦さで紛らわせて


ふわり、煙が上がる。














TH「……Aは俺以外いないよ。」



YG「…リラの事もキープしたまま放置かよ」



TH「まだリラは手放せない。だから、順番を変える」














TH「………ヒョン、大丈夫だって。Aって俺のこと愛してるから。」











それこそ壊れそうになるくらいに。



そう微笑むテヒョンは、自分が“A”を壊せることを知っているのか否か、



……俺には、わからねぇ

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