やっちゃんガチ勢は天才説 (ページ10)

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9話ページ10

新しい事を始めて、飛雄がワクワクしてる。

あんなに楽しそうな飛雄久しぶりに見た。

『っ...もう一回、もう一回...もう一本！』

もう一度速攻が見たい。

もう一度トスが見たい。ジャンプが見たい。

グッチーのサーブを田中先輩が受ける。

翔陽が勢いよく飛び出した事に警戒して、ツッキーとグッチーの二人でブロックにまわる。

飛ぶと思った瞬間、翔陽がコートの反対側まで切り返した。

ツッキーが反応して手を伸ばすがもう遅い。

翔陽は既に最高到達点にいる。

ブロックを振り切った時、目の前に壁がない景色を私は知っている。

──頂の景色。

打ったボールが相手コートに落ちる。

影山/日向「「オシ！」」

『っナイスキー翔陽！ナイストス飛雄ー！』

やばい今めっちゃ興奮してる！

やっべえ！速攻すげー！

それからは順調に点を取り、翔陽達のチームが逆転でマッチポイントまでひっくり返した。

ツッキー達の意識は完全に翔陽に向いた。

翔陽の前にツッキーが構えたがトスは田中先輩に上がる。

田中「いらっしゃあああい！！」

田中先輩のスパイクで第一セットが終了した。

『翔陽ナイスキー、飛雄ナイストス！うぇーい！』

二人にハイタッチを要求するも飛雄にハテナが浮かんでいた。

『飛雄、手、上げて』

あげられた手を思い切り叩く。

『うぇーい！！』

日向「うぇーい！」

影山「うぇ、うぇーい？」

第二セットも競りながら何とか取れた。

『おつかれ〜！』

試合後の握手を強制的にさせられたツッキーに苦笑しながら翔陽に声をかける。

『翔陽、レシーブ上手くなったね。さすが私だ』

一週間、翔陽に基礎を教えたのは菅さんと私だ。

あとはコツとか体の向きとか。

日向「だろだろ！俺めっちゃ取ってたよな！」

影山「Aが教えたんだから当たり前だろ」

その場にいた飛雄以外のメンバーがハテナを浮かべる。

翔陽も、なんでこいつがドヤ顔？という顔だ。

影山「こいつ、多分俺よりバレー上手いぞ」

こら飛雄君。人を指さしちゃいけません。

日向「...影山より？」

影山「おう」

部員全員にハテナが浮かんだ瞬間であった。